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2013年07月05日(Fri)更新

久米信行氏新刊の見本出来のお知らせと出版記念イベントのご案内

 こんにちは! 日本実業出版社の前川健輔です。

 昨日まで当ブログで連載していた本『言いわけばかりで動けない君に贈る33のエール』の見本が、本日7月5日に出来しました!! このブログをご覧いただいているみなさま、「いいね!」ボタンを押してくださっていたみなさま、には、心より感謝申し上げます。

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 7月11日(木)から全国書店にて順次発売です。ぜひ書店で手にとってご覧ください。このブログとは、違った印象の本になっていると思いますので、その違いも楽しんでいただければうれしいです。

 そして、久米信行さんの『言いわけばかりで動けない君に贈る33のエール』の新著出版イベントを、7月16日(火)に予定しております。
 詳細は以下のとおりです。

■日時:2013年7月16日(火)
■会場:ワテラスコモン(東京都千代田区神田淡路町)
http://www.waterrascommon.com/
東京都千代田区神田淡路町にできたばかりのおしゃれ空間です!
■定員数:100名
■参加費:1,000円(ワンフラワー制)
■スケジュール
開場:18:00~
時間:19:00~21:00

■内容
前半:『言いわけばかりで動けない君に贈る33のエール』のエッセンス紹介(久米信行)
後半:「リスクをとって自分の道を切り開いた起業家4人」によるパネルディスカッション
※詳細は別途ご案内します。

■お申し込み方法

お申し込みはコチラからどうぞ。

▼お申し込みページはコチラ(こくちーず)からどうぞ
http://kokucheese.com/event/index/101302/

できれば「こくちーず」でお申し込みいただきたいのですが、よくわからないという方がいらっしゃいましたら、メールでのお申し込みもお待ちしております。

▼メールでお申し込みの方はコチラから
33yell[@]gmail.com
※[@]を@に変換し、お名前を明記の上、お送りください。

 引き続き、『言いわけばかりで動けない君に贈る33のエール』の書籍およびブログへのご支援のほど、よろしくお願いします。

2013年07月04日(Thu)更新

【新著連載】Q33.商品や自分を売り込むのが苦手です

15万部突破!『すぐやる!技術』の著者であり、当「経営者会報ブログ」のプロデューサーでもある久米信行さんの次回作ご執筆原稿をリアルタイムで公開させていただいております! ぜひコメント、トラックバックをお寄せください。

Q33.商品や自分を売り込むのが苦手です

→A.不器用でも情熱をもった「○○オタク」を目指せ

 起業家にとって、一番大切な資質は「商品や自分を売り込む力」です。どんなに良い事業プランや商品でも、誰も見向きもしなければ無駄になってしまうからです。
 尊敬する「まちおこし・ものづくり・ことおこし」達人、クリップ代表 島田昭彦さんは、「日本の素晴らしさ」を海外に広めるお仕事をされています。その大変な体験から「何かを作る力を1としたら、伝える力、広める力に、5倍の力をかけなければいけない」と強調されています。それぐらい、商品や自分を売り込むのは大切な仕事なのです。

●営業ほど創造的な仕事はない

 多くの若者は、経営企画、商品企画などの仕事につきたがります。おそらく、それが創造的(クリエイティブ)で感性豊かな仕事だと思っているのでしょう。逆に、営業は泥臭くて、創造的ではないと思われがちです。上司やお客様にも怒られ、つらそうに見えるのでしょう。
 しかし、それは大きな間違いです。私は、経営・商品・営業企画の仕事から、飛び込み営業・トップセールスまで体験しました。また、人工知能を使った投資・税務相談システムや自社効率化の業務システムも構築したので、機械でできること、人にしかできないことにも敏感です。
 その経験から、営業ほど、人間の知性・感性・品性が問われ、心技体の高い能力が必要とされる仕事はないと感じています。
 お客様は一人一人個性が違うため、模範解答もマニュアルもありません。お客様に喜んでいただくためには、使える道具はアナログでもデジタルでもフル活用しつつ、自分の心で感じ、自分の頭で考え、自分で行動するしかありません。人間を感動させられるのは、機械ではなく生身の人間だけ。お客様が感動してくれればくれるほど感動できるのも人間だけです。 
 
●愛想と要領が良いだけの若者は3か月で辞める?

 さて、それでは、どんな若者が「21世紀の営業達人」になれるでしょうか?
 私の結論は「今はどんなに口べたでも、何かを長く愛し続けた『○○オタク』なら、営業の達人になる資質がある」ということです。ですから、親しい経営者には、社長自ら「オタク枠」を作って採用することを勧めているほどです。「面接マニュアル」を熟読した「愛想と要領の良い学生」ばかり採用すると、会社への忠誠心も、商品への愛情も薄く、3ヶ月でやめてしまうような若者があふれてしまうと警告しています。
 これは、明治大学商学部で、起業家志望の若者たちを「三方よしのあきんど」にする起業プランニング論の講義を、7年間続けて得られた実感です。
 私の講義は、自分の好きな愛用品などのブログを立ち上げ、ネット行商を1年間続けるという変わり種です。就職して自分の愛用品以外を営業することに比べたら、はるかに簡単な課題です。
 ところが、毎年100人近くの学生が、ガイダンスには参加するのに、残念ながら、最後まで完走する学生は10人前後しかいません。なぜなら「売りたいほど好きなもの(こと)がありません」という学生が圧倒的に多いからです。なんと寂しいことでしょう。ものがあふれているから?メールやSNSの返信に忙しいから? 好きなものが見つけられない学生ほど、愛想はいいくせに脱落していきます。

●口べた「○○オタク」が秘めた営業力

 しかし、何か「愛するもの・こと」を胸に秘めてきた「○○オタク」は違います。親が「そんなもの捨てなさい」と言っても捨てず、友人から「いたい。うざい」などと言われても、大事に胸にしまって育んできたのです。10年間も心の奥で燃え続けてきたマグマは、きっと一生消えません。
 私から見れば、彼らこそ独創的な商品やサービスを産み出す創造力や、トップセールスになりうる営業力を秘めているのです。
 ただし、今どきの学生なおかつオタクですから、まっすぐ立てない、あいさつができない、人前で話せない人も少なくありません。だから面接も苦手です。そのかわり、愛想がいいだけの「よい子ちゃん」にない情熱と粘り強さを、兼ね備えているのです。
 彼らは、自分の好きなものやことを、最初は、おそるおそるネットで発信します。すると、自分のまわりでは見つけられなかった「同好の仲間」から思いがけず返信が寄せられます。距離を超えたマニアックなつながりこそインターネットの美点です。
 一人でも仲間が見つかり自信が持てたら、「どんなブログを始めるか」壇上で発表してもらいます。もちろん「変人×オタク」の私も、公序良俗に反していない限り「いいね」と絶賛します。学生から知らないものを教われば試してオタク仲間になります。いつしか私の講義に参加するのは、愛ある「○○オタク」ばかりになります。「オタクはオタクをバカにしない」ため、誰しもが自信を持って発言ができるようになります。
 
 ここまでくれば簡単です。彼らに足りないのは「コミュニケーション力」ですが、「語るべき愛するものごと」と「誰かに伝えたいという熱意」さえあれば、あとは、毎日の練習を重ねれば良いからです。講義では、拙著『「すぐやる!」技術』『「認められる!」技術』「ビジネスメール道」でご紹介した簡単なレッスンを実践して体得していきます。
 彼らは、自分たちにスキルがないことを理解しているので、私が教えたことを「素直に」試して繰り返します。ですから伸びしろが大きく、1年後は、まるで別人です。
 いよいよ最終講義では、「自分の好きなものごと」を熱く語る3分間スピーチです。演壇で原稿なしで、時間超過までして、堂々と語る若者を見るのが、最大の喜びです。
 この経験から、口べたでも愛情があれば、誰でも営業達人になれると確信しています。自分が販売する「商品やサービス」を誰よりも愛用して、その良さを知り尽くすこと。商品やサービスを愛用してくれる「お客様」にも愛情を注ぎ、心から共感すること。むしろ口べただからこそ、商品やお客様を静かに見つめて、心で感じとることができます。
 やがて「何が本当に求められているか」お客様の「声にならない声」が聞こえてくるでしょう。その声に応えたいと思った瞬間から起業家への道が開かれるのです。

A.不器用でも情熱をもった「○○オタク」を目指せ

2013年07月03日(Wed)更新

【新著連載】Q32.「お前がやれ」と言われると躊躇する

15万部突破!『すぐやる!技術』の著者であり、当「経営者会報ブログ」のプロデューサーでもある久米信行さんの次回作ご執筆原稿をリアルタイムで公開させていただいております! ぜひコメント、トラックバックをお寄せください。

Q32.「お前がやれ」と言われると躊躇する

→A.3秒以内に即答して、やってみながら考える

 起業家にとって、「自分のアイディアを自分で形にできること」ほど幸せなことはありません。起業家は「いくらひらめいても、それだけでは価値がないこと」「自分で形にしなければ、真の喜びが得られないこと」を心の奥底で体感しているのです。この独特の感覚は、成功体験よりも苦渋の体験で育まれるのです。「アイディアを実現したくとも、お金や組織などの経営資源がなくてライバルに奪われた経験」や、「アイディアを出しただけで担当させてもらえなかった経験」を味わえば考え方が変わるのです。
 それでも躊躇するのは、「自分にそんな実力があるか」「ゼロからの仕事は大変そう」「失敗したらどうしよう」といったリスクへの恐怖が邪魔をしているからでしょう。 
 
●まずは「はい。やらせてください」と3秒以内に即答する
 
 しかし、「お前がやれ」と言われることは、社内起業において、既に二つの大変なプロセスをクリアしていることだと気づきましょう。ありがたいことに、経営者や上司に「そのアイディアは面白い」「アイディアを実現する力が君にはある」と認められているのです。「失敗させてでも君を育てたい」と感じているのかもしれません。直感力・洞察力に優れた経営者や上司が、きっと「できるはず」と考えた上で「お前がやれ」と言っていることを忘れてはなりません。「私が見込んだ通りの人物であるか。自分が思いついたことを、すぐやる>やり抜く気概があるか」を試しているわけです。
 そんな期待に応えるための最良の回答は、「はい。やらせてください」と10秒以内に即答することです。間違っても「よく考えさせてください」などと言ってはなりません。それだけで「新規事業で、即断を迫られた時に、問題を先送りする人物」と判断され、おそらく、経営者も上司も二度と声をかけてくれなくなるでしょう。

 迷わず「すぐやるお手本」として私が尊敬しているのは、地元墨田区の先輩経営者、フットマーク会長の磯部成文さんです。磯部さんの生き方、経営手法は、独創性に富んだ起業家そのもので、まさに「すぐやる」ことの連続だったのです。
磯部さんは、若くして先代から引き継いだ家業「おむつカバー」の行く末を憂いて、まだ、全国の学校にプールがない頃に、水泳帽やスクール水着への展開を決められました。また、介護という言葉を産み出して、少子高齢化時代に、いちはやくシニア向け商品へのシフトも進められています。
 こうした鮮やかな事業転換や事業展開は、「おまえがやれ」と言われて「すぐやる」挑戦の繰返しだったと拝察します。

●「できるかどうかはやってみてから考える」発想を

 オーナー経営者である磯部さんが、誰から「おまえがやれ」と言われるか不思議に思われるでしょう。磯部さんは、師匠探しとコラボレーションの達人で、会長になられた今でも、面白い人がいると進んで自分から会いに行くのです。
 例えば、今や同社の主力商品のひとつウォーキング・スポーツ用タイツ「フィール・アライナ」も、大学の先生から「やれ」と言われて、即答して商品開発にとり組んだ賜物だそうです。先生のありがたいアイディアに応えることが第一。「できるかどうかはやってみてから考える」発想で、すぐサンプル制作しては先生の研究室に通われた結果なのです。こうした積み重ねが信用になり、さらに大きなアイディアと商機を呼び寄せてきたのです。

●「失敗しながら学んでいく人」は達人に支援される

 磯部さんは、よくご自身のことを「おっちょこちょい」と評されますが、それは、「このアイディアは面白い」「この人はすごい」と直感が働いたら、迷わず「すぐやる」という「健全な起業家精神」のあらわれなのです。70代とは信じられない磯部さんの「心と体の若さ」の源泉は、子供のような「知的好奇心=何でも面白がる心」です。だからこそ、二十歳以上も私がお誘いした時、仕事と関係ない遊びごとでも面白いと感じたら、すぐにご参加くださいます。
 例えば、スネークマンショーの桑原茂一さんのお芝居や、大地の芸術祭のイベントにもご一緒しましたし、つい先日は「日本おにごっこ協会」との地元牛島神社でのイベント企画にもご参加いただきました。
 若い起業家を応援する先輩起業家は、多かれ少なかれ、磯部さんと良く似た気質や考え方をお持ちです。自分と同じように、新しいものを探して「すぐに挑戦する人」まずは試して「失敗しながら学んで行く人」が大好きなのです。そんな先輩が「君がやれ」と差し出してくれた一世一代のチャンスです。期待を裏切ってはなりません。

A.3秒以内に即答して、やってみながら考える

2013年07月02日(Tue)更新

【新著連載】Q31.人前で堂々と意見や主張を言えない

15万部突破!『すぐやる!技術』の著者であり、当「経営者会報ブログ」のプロデューサーでもある久米信行さんの次回作ご執筆原稿をリアルタイムで公開させていただいております! ぜひコメント、トラックバックをお寄せください。

Q31.人前で堂々と意見や主張を言えない

→A.人前で熱く語る「役者スイッチ」は舞台に立つことで磨かれる

 起業家は、一流の役者でもあります。
 静まり返った会議や、上司が暴走発言をした席上など、ここぞという時に、その場の空気を「ひとこと」で変えられる「名役者」なのです。その発言の中身も重要ではありますが、もっと大切なのは、その場の「空気」を読み、「間」をとること、よく通る声を「腹」からゆったりと出すことなのです。すると、いつしか周りの人も「大舞台の見せ場」で期待してくれるようになります。「発言してほしいオーラ」と「視線のスポットライト」を、自分に寄せてくれるようになります。そこで「待ってました」とばかりに「意見」を放てば効果絶大なのです。
 もちろん、こうした「演技力」や「人望」は一朝一夕で築かれる訳ではありません。若いうちに、失敗もおそれずに、繰り返し繰り返し舞台に立つことが重要なのです。

●講演会で真っ先に質問する

 最初にお勧めしたいレッスンは、敬愛する経営者の講演会に出かけて、真っ先に質問することです。身内や知り合いが多い社内・校内や地元の勉強会では、人目を気にしてしまうので、ネットで「経営者名+講演会」等と検索して参加しましょう。
 
 私が、新米社会人だった時、ダイエー創業者の中内功会長の講演をお聴きする好機がありました。拙著「すぐやる技術」にも書いたことを実践し、一番前に座って、中内さんの言葉にうなずき、メモをとりながら、いの一番に質問をしました。
 当時、私は飛び込み営業をしていたので、ダイエーが始めたディスカウントストア「トポス」の凄まじい集客力を知っていました。
 そこで、「私は、毎日、飛び込み営業で街を歩き回っていますが、トポスにみんな吸い込まれて行きます」と切り出しました。ここで、中内さんが嬉しそうに笑ったのです。そして「次々に新業態を開発されていますが、これから中内さんはどんなことを実践したいですか?」と質問しました。
 中内さんの答えは意外なもので、「流通を本格的に学べる大学を作りたい」ということでした。この答えにも感銘を受けて、すぐに手書きのお礼状を書きました。すると、驚いたことに、中内さんご自身から「巻き紙で筆文字」のお礼状が届いたのです。

 この体験で、私は多くを学び、自信を持つことができました。
「大経営者ほど、一番前に座って、目をそらずに話を聴き、真っ先に質問をするような若者が好きなこと。」「頭でっかちより、自ら歩いて汗をかいて現場情報をとってくる若者が好きなこと」「自分の取組みを認めてくれる若者が好きなこと」「自分の夢を尋ねてくれる若者が好きなこと」「お礼状など、礼儀を重んじる若者が好きなこと」
 私は、中内会長の粋な計らいに出会って、大経営者に物怖じしなくなったのです。

●会議で周囲の目を気にせず意見を言う

 次のレッスンは、NPO活動に積極的に参加して、その会議で意見を言うことです。
 
 大企業と違って、NPO法人では、大経営者や著名人と、熱心な若者が、同じ会議に座ることも少なくありません。NPO活動の中身は、地域おこし、教育、福祉など、関心のあることでかまいません。日本財団のインターネットサービス「CANPAN」のデータベースでNPOを探しましょう。理事などの顔ぶれも明記されているはずです。
 このレッスンでは、自分が現場で実践して感じた実体験に基づく「改善案・改革案」を発言してみましょう。実は、人生経験がはるかに豊富な先輩方が相手でも、若者が自分の意見に耳を傾けてもらうことは、さほど難しくありません。若者が好きなものや、得意なことを盛り込みながら、「インターネット」や「イベント」を活用するアイディアを提案すれば良いからです。多くのNPO団体では、もっと若い人を、新しい方法で巻き込みたいと思っていますので、若者が力を発揮できる課題があるのです。
 この「わか者感覚」は生涯活用することができます。私が理事をつとめます社会貢献支援財団では、日下公人先生、内館牧子先生、屋山太郎先生など、功成り名を遂げられた大先輩が理事会に名前に連ねています。事務局もしっかりしているので、若造が、何も発言しないと「異議無し」とすべてが順調に進んで何もおこりません。
しかし、私は「何か目新しいことを話せ」というオーラを毎回感じます。
ある時、広告宣伝費の使い道と、お金をかけない広報活動の話になった時に、私なりの提案を投げかけてみたのです。口を開くと、いっせいに振り向かれますが、今では快感です。
「最近、コンビニで読みやすい500円本が売れています。先日も『戦国武将の泣ける美談』が満載の読みやすい本を買いましたが大変面白いです。そこで『社会貢献をしている人たちの泣ける美談』が満載のコンビニ本を作ったら、堅苦しい報告書よりも多くの人が読んでくれます。これまで表彰した人たちにネットで原稿を寄せてもらえば取材費もいりませんし、出版社の仕事にすれば、費用のかわりに印税が入ります」
 稚拙な提案ですが、日下先生はじめ、多くの著書を誇る理事のみなさんも面白いと言ってくださいました。
 自分より知恵も経験も豊かな「尊敬する先輩」から認められるのは、何より嬉しいことです。次の会で「出版計画も着々と進んでいる」と報告したところ、日下先生から「ありがとう」と言っていただけました。お金を稼いだり、名誉を得たりするよりも、師匠から褒められお礼を言われるほど素晴らしいご褒美はありません。だからこそ、人前で言う恥ずかしさなんて、吹き飛んでしまうのです。

 人前で熱く語る「役者スイッチ」は、誰にでも付いています。役者や芸人に恥ずかしがり屋も多いのも、その証拠です。多くの人が「スイッチの入れ方」を体得していないだけです。スイッチを入れるべき場所は、同世代のお気楽「小勤め人」と愚痴を言い合う居酒屋ではありません。手が届かない先輩「起業家」と接する講演会や会議なのです。
 
 起業家の前で演じることこそ、起業家=一流の役者に近づく早道なのです。

A.人前で熱く語る「役者スイッチ」は舞台に立つことで磨かれる

2013年07月01日(Mon)更新

【新著連載】前例がないことに挑戦できない

15万部突破!『すぐやる!技術』の著者であり、当「経営者会報ブログ」のプロデューサーでもある久米信行さんの次回作ご執筆原稿をリアルタイムで公開させていただいております! ぜひコメント、トラックバックをお寄せください。

Q30、前例がないことに挑戦できない

→前例のない挑戦は、君の知らない君に会うための登山口

 悩まずに動ける人と言いわけして動けない人では、同じものごとを見ても、その見え方と考え方が違います。なかでも、最も違いが出るのは、前例のないチャレンジを目の前にした時でしょう。

●「そこに、高い山があるから」どうする?

「挑みがいのある高い山」が現れた時、起業家は目を輝かせて心臓を高鳴らせているのに、小勤め人はうつむいて目をそらそうとするのです。この違いのもとはただ一つ。山を登るつらさの何倍も心地よい「山頂の眺めと美味しい空気」「言葉にできない達成感と自信」を味わったことがあるかどうかです。だから、若いうちの登山が大切です。 
 具体的には、常に会社の上司やキーパーソンに「山に登りたい」と言い続ければいいのです。面接の時、仕事で同行した時、食事をご一緒している時…あらゆる機会をとらえて、「新しいこと前例がないことにチャレンジしたい」と言い続けるのです。
 そうすれば、上司が「山登り」をする時に真っ先に誘われるはずです。最初の山登りでは、ひどくつらい思いをするでしょうが、人間の適応力はすごいもの。何度か登るうちに不思議と体が慣れてくるものです。そして、いつの間にか病み付きになるのです。

●魔法の言葉、教えます

 思えば、私の人生最初の「前例なきチャレンジ」も、上司に言い続けた「魔法の言葉」が呼び寄せたのでした。イマジニア株式会社の新卒第一期として、私は営業部門に配属されました。
 しかし、隣りの部署の商品開発担当役員 飯田祥一さん(現オフィスアイ代表取締役)が、独創的な考えの持ち主で、いつも面白いお話をしてくださるのです。ですから、私も営業現場で拾ってきた耳寄りなお話を拾ってきては、飯田さんにもお話をしていました。
 そして、会話が弾んでいる時に、「誰がやっても同じ結果が出る仕事はしたくない」と口癖のように言い続けていました。今、思い返すと、なんとも生意気な発言で赤面ものですが、若い時は恐れを知らないものです。
 しかし、実はそれこそ「魔法の言葉」でした。日本発の株式投資ファミコンゲームソフト「松本享の株式必勝学」のプロジェクトが立ち上がった時、なぜか営業部門の私が抜擢されたからです。ただし、人材不足のベンチャーゆえ、昼は営業で、帰社後から終電まではゲーム企画という厳しい辞令でした。
 よく考えてみれば、文系人間でゲーム嫌いの私がゲーム作りに挑むのは、生まれてから一度も運動や山登りをしたことがない人が、未知なる高い山に登るようなことです。しかも、ただでさえ知力や体力が乏しいのに、昼間の飛び込み営業で疲れ果てた後で登れと言われているのです。

●「損得勘定」で考えるより反射的な感情で動く

 ところが、若い時は、いい意味で「うかつ」です。損得勘定を考えるより先に「なんだか面白そう」「この人と山に登りたい」と体が動いてしまうところが良いのです。
 もちろん始めてみれば驚きの連続です。楽しそうなゲームも裏のプログラム作りはロジカルシンキングの嵐です。
 文系人間の私には苦手…と思いきや、意外にもフローチャートを書きながらストーリーを書くのは、楽しい仕事でした。本を読んで空想するのが好きで、趣味で童話も書いていた私にはピッタリだったのです。
 ロジカルというと冷徹で客観的にというイメージですが、「主人公の個性だったら、この状況なら、こんな気持ちになって、おそらくこのように動いて、こうした結果になる」と感情と行動を先読みするのは、立派な論理的思考なのだと気づきました。さらに、大学のゼミ恩師の平野先生から「あなたの言いたいことをひと言で言うと?」「なぜ?」と、さんざんしごかれてきたことも「短く結論と理由を伝える」発想と表現に役立ちました。
 ひそかに、飯田さんは、私とのたわいもない会話や営業レポートの記述から、私が「ロジカルシンキング」をできる人間だと見抜いてくれていたのでしょう。そして、「誰がやっても同じ結果の出る仕事はしたくない」という「生意気きわまりない言葉」も、新しいゲーム作りに必要な気概だと感じてくださったのです。
 今、考えると、飯田さんと雑談をしながら、深夜まで手探りでゲームの企画を考えて行った数ヶ月は、私にとってかけがえのない時間でした。飯田さんは、若輩の私に大切なエンディングやBGMの企画を任せてくださいました。あの面白さを若くして味わってしまったので、「前例のないプロジェクト」と聞いただけでワクワクします。きっと「自分が知らない世界」と「自分が知らない自分」に出会えるからです。

→前例のない挑戦は、君の知らない君に会うための登山口

2013年06月27日(Thu)更新

【新著連載】Q29.見栄っ張りでプライドが高すぎる

15万部突破!『すぐやる!技術』の著者であり、当「経営者会報ブログ」のプロデューサーでもある久米信行さんの次回作ご執筆原稿をリアルタイムで公開させていただいております! ぜひコメント、トラックバックをお寄せください。

Q29.見栄っ張りでプライドが高すぎる

A.「粋」と「野暮」をわきまえ「粋な人」を目指せ

 起業家にとって「誇り」や「プライド」は大切です。世のため人のために、リスクをとって、時には「割りの合わない事業」にとり組まねばならないのですから、「誇り」や「プライド」なくしては、心が折れそうになるからです。

●成金経営者の「野暮」、老舗のオーナー経営者の「粋」

 事業が成功を収めて、ある程度のお金や名誉が手に入るようになった途端、「見栄っ張りでプライドが高すぎる成金経営者」に豹変しやすいのも事実です。
 墨田区向島料亭街と共に歩んだ喫茶店「カド」の二代目ご主人曰く、成功して向島で芸者遊びをする人には「進化法則」があるそうです。まずは酒(高級料亭)と女(向島芸者)、続いて競馬の馬主、最後はバカラなどの賭博。要は、より多くのお金を使って、より高いスリルと、ステイタスシンボルを得たいということなのでしょうか。
 ところが、私が尊敬する先輩経営者、とくに老舗のオーナー経営者の方々は、見栄はそこそこに、誇りとのれんを、自分自身の美学と幸福感を大切にされているのです。
 例えば、愛用しているものを見れば、その経営者の考え方や生き方がわかります。もともと、江戸文化には「粋」と「野暮」という考えがあります。見るからに高級で派手なものを身にまとうと「野暮」、地味だが仕立てが良くて裏地に凝っていたりすると「粋」だと思われるわけです。つまり「見栄っ張り」は、侘び寂びもわからぬ「成金趣味の野暮な人」だと笑う文化が、日本には既に昔からあったわけです。

●思い入れをもってストーリーを語れるか?

 誰が見てもわかる高級時計や、高級外車に乗りたい気持ちもわからないでもありません。しかし「なぜその時計ですか?」と聞いても、何の思い入れがないと、本当にがっかりします。まるでブランドネームと高価格だけに惹かれたように見えるのです。
 その一方で、ちょっと気になる美しい小物を持っていて、聴くとうれしそうに物語を教えてくれる先輩経営者もいます。例えば、勉強会「ニューマネジメントフォーラム」で毎月顔を合わせる仲間、C+F研究所 ティム・マクリーンさん、アドバネクス・加藤雄一さん、イワキ・岩城修さんとの熱い「モノ談義」は楽しみでなりません。
 ティムさんは、米国でスティーヴ・ジョブスと同じ師匠からの禅を学んでいたこともあって、アップルの理念と製品を社員以上に愛しています。同様に、加藤さんも、岩城さんも私もジョブスを敬愛するアップル派なので、いつもモノ自慢が始まるのです。とはいえ、iPhoneやMacBookは、今や学生でさえ持っています。
そこで、自慢は、iPhoneのケースやMacBook用の鞄、さらには関連する文房具やアプリになるのです。どれだけ、誰も持っていない×美しい×面白いものを探し出し、そのストーリーを熱く楽しく語れるかという勝負=遊びです。誰もが知っているブランド品、しかも高額品だったら「野暮」だと思われてしまいます。
 知る人ぞ知る逸品、国内の量販店で売っていないような美しくも珍しい名品を、リーズナブルな価格で見つけなくては、仲間に「粋」だと思ってもらえません。これが楽しいのです。

●「粋」な遊びに熱中する仲間をつくる

 よく考えると、この「隠れ名品探し×ものがたり」という「粋」で「無邪気」な遊びに熱中する心は、起業家精神そのものかもしれません。自らの情報網と感性と行動力で、人がまだ発見していない美しくも役に立つ商品を探すからです。そして、有名になって価格が上がる前に入手して、誰よりも愛情をこめて熱く語り、広めるのです。 

 ただし、このゲームを楽しむためには、仲間が大切なのです。
 経営者のまわりには、とり入ろうとチヤホヤする輩がいますが、彼らは仲間ではありません。とり巻きです。また、成金仲間の間では、このお金を使わない代わりに、知性と感性と品性を問われる地味なゲームの面白さも「探し出して伝える喜びや誇り」も理解できないでしょう。
 真の仲間とは、お互いに師匠になったり、弟子になったりできる特別な関係です。「見栄を張る」必要はありません。自分の強みや弱みも、仕事×家族×個人の悩みも、さらけ出すことができます。
将来に実現したい夢も、心から理解し合えて応援できます。だからこそ、有頂天になっていれば厳しく叱咤し、絶望していれば温かく励ますこともできるのです。
 お金や地位目当てのとり巻きの評判を気にするよりも、心からの友=真の仲間にほめてもらえる生き方をすることこそ「誇り高き人生」なのです。

A.「粋」と「野暮」をわきまえ「粋な人」を目指せ
 

2013年06月25日(Tue)更新

【新著連載】Q28.シナリオを描くには?

15万部突破!『すぐやる!技術』の著者であり、当「経営者会報ブログ」のプロデューサーでもある久米信行さんの次回作ご執筆原稿をリアルタイムで公開させていただいております! ぜひコメント、トラックバックをお寄せください。

Q.シナリオを描くには?

→A.最高と最低を意識してシナリオを描き、前進と撤退を見極めながら進め!

 リスクをとって大胆な一歩を踏み出すためには、心がけておくべきこと、事前に準備しておくことがあります。
 まずは事業の見通し=シナリオが大切です。多くの場合、上司などから批判されないように、鉛筆なめなめ「可もなく不可もない」計画を立てがちです。強気に書けば目標に届かない時に起こられそうですし、弱気のシナリオは考えたくないからです。しかし、新しいことに挑戦するに必要なのは、最も楽観的なシナリオと、最も悲観的なシナリオを同時に考えておく「リスク予見」の感性です。最悪の結果になっても致命傷にならないように考えておくのです。どんなに読みが下振れしても慌てることがないように備えておくのです。

●バブル期の存亡を賭けて

 例えば、この20年で企業が見舞われた中で「最もインパクトが大きい想定外のリスク」は「メガバンクをふくむ銀行の倒産と合併>貸し渋りと貸しはがし」でしょう。

 証券会社で、想定外のバブル崩壊に見舞われたことで、私の金融機関に対する危機感や不信感は、普通のビジネスパーソンの何倍も磨かれました。吹けば飛ぶような中小企業が銀行の心配をするのは本末転倒に見えますが、実は死活問題だったのです。

 家業の久米繊維工業も、バブル期に過大な不動産投資に走って、11行もの銀行取引がありました。その中には、バランスシートや取引先を見ると経営が危なくなると予想される銀行があり、いち早く取引をやめる必要がありました。預金が失われ、融資が止まってしまうからです。

 そこで、都市銀行を有力三銀行に絞ったのですが、今度は、その三行が合併するという話まで噂されました。一行とだけと取引をすれば、その銀行の言いなりになるしかありません。だから、政府系の金融機関や、地元の信用金庫とバランスをとりながら、常に何が起きても良い体制に変えて行きました。銀行につぶされた企業もたくさん見てきましたが、何とか先回りをして生き延びられました。

●「前進する勇気」と「撤退する勇気」を兼ね備える

 喜ばしい楽観的な展開にも、実は大きなリスクが潜んでいます。
 例えば予想を上回る受注などがあった場合には、お客様にご迷惑をおかけして機会損失をするばかりか、ライバルの参入を招くリスクまであるからです。また、発注・生産・在庫に先にお金がかかって、回収が遅れるため「黒字倒産」になるかもしれません。ですから、最も楽観的なシナリオと悲観的なシナリオと対応策を、常に考えておくことが大切です。

 その上で、「前進する勇気」と同じぐらい重要なのが「撤退する勇気」です。山登りでもヨットでも、実力のある達人ほど、天候などを見て「撤退する勇気」を兼ね備えています。同じように、起業の達人たちの頭には「いつまでに○○ができなかったら撤退」「損失が□□円になったら撤退」「環境が△△になったら撤退」と自分で決めたルールがあるのです。だからこそ、そこまでは勇気を持って前進できるわけです。
 
 また、たとえ自分がリーダーであっても、関係者や師匠に報告・連絡・相談すること=ホウレンソウが大切です。起業家にとって、ホウレンソウは、気が重いものです。多くの場合、マイナスからのスタートなので、胸をはって報告できるのは何年か先だからです。しかし、成果が出ていない、悩み多き時こそ、ホウレンソウが大切です。相談時の貴重な助言や叱咤を、素直に受け止められるかどうかが成功の鍵なのです。

●ゴールに至る道筋や技法は柔軟かつ大胆に修正

 予想通りに行かない場合や、貴重なアドバイスをもらった時など、今までの方針や進め方を、ガラッと変えなければいけないことがあります。私も勤め人だった頃は、「何だよ、また方針が変わったよ」「リーダーはすぐ気が変わるからな」と愚痴をこぼしましたが、いざ自分が起業家になると、そんな悠長なことを言ってはいられません。時々刻々環境が変化する中、誰もやっていないことを、教科書もなく進めていくわけですから、予定通りにいくはずがないからです。経営理念がぶれるのは厳禁ですが、ゴールに至る道筋や技法については、常に微調整や大胆な革新が必要なのです。

 こうして起業家は、リスクをとった分だけストレスに満ちた毎日を送ります。だからこそ休日の過ごし方にも気を配りましょう。頭を空っぽにして、趣味やスポーツに没頭しましょう。ストレス解消の時間こそ、新たなアイディアを生む源泉なのです。

A.最高と最低を意識してシナリオを描き、前進と撤退を見極めながら進め!

2013年06月20日(Thu)更新

【新著連載】Q27.現状に満足しないで生きたい 

15万部突破!『すぐやる!技術』の著者であり、当「経営者会報ブログ」のプロデューサーでもある久米信行さんの次回作ご執筆原稿をリアルタイムで公開させていただいております! ぜひコメント、トラックバックをお寄せください。

Q27.現状に満足しないで生きたい

→A.「量的な拡大」よりも「質的な変化」を追いかける

 起業家の特長は、現状に満足しないことです。一つ目標を達成したとしても、それに飽き足らずに、もっと高みを目指して、次なる高度な目標が見つかるのです。
 もっと高度な目標といっても、それは、企業を大きくする、会員を増やすといった「量的な拡大」ばかりとは限りません。「量的な拡大」は、時には、行き過ぎた競争や、社会との不調和を招いて、かえって心を貧して、周囲を不幸せにすることも少なくありません。現状に満足しない真に充実した生き方は、「質的な進化」を伴うのです

●「現状に満足しない生き方の五段階」

 かつて米国の心理学者のアブラハム・マズローが、欲求段階説を唱えました。人間の欲求が、五段階(1生理的欲求 2安全の欲求 3所属と愛の欲求 4承認(尊重)の欲求 5自己実現の欲求)で進化すると唱え、「自己実現の欲求」が最も高次な欲求と定義されました。しかし、私自身のささやかな体験では、「自己実現」よりも、さらに高次な目標が芽生えて、そこに向かってに挑戦したくなります。
 そこで私が体感した「現状に満足しない生き方の五段階」をご案内いたしましょう。

 まず、第一段階は、「贅沢欲求」です。実は、私の場合は、父が事業を成功させながら「贅沢欲求」を満たすプロセスを見ることで、生きる目標が進化しました。昭和10年生まれの父は、戦後の焼け野原、路地裏の自宅兼町工場を祖父から引き継ぎました。大学にも行かず、自分でトラックを運転して工場と取引先を往復しました。だからこそ、日本初のTシャツ専業メーカーして成功すると、次々に欲しかったものを手に入れて行きました。何と言っても、表通りに面した10階建ての自社ビル兼自宅がその象徴でしょう。しかし、あらゆる贅沢をした後、バブル崩壊を経て、父が晩年に語ったのは「物を持つと苦労する。贅沢せずとも幸せになれる」という境地でした。家族とレンタカーで三陸海岸をドライブして、名も無き漁港の防波堤に腰掛け「おにぎりを食べた」のが、一番美味しかったと、死の直前にしみじみ語ったのです。

 「贅沢欲求」=物欲が満たされると、次は「認証欲求」=地位・名誉欲が大切になります。日本ではお金や物を持っているだけでは尊敬されないからです。1995年当時、私は無名の中小企業経営者でした。しかし、日経インターネットアワード、経済産業省「IT経営百選」、東京商工会議所「勇気ある経営大賞」などを受賞し、マスメディアにもとり上げられると、明らかに対応が変わりました。悪い気はしませんが、嬉しいのは最初のうちだけでした。これまでの成果=既に終わった自分を褒められるよりも、これからの挑戦=未来に向けて走る自分を見て欲しいと思うようになるのです。

●真の自己実現は自己満足では得られない

 続いて「自己実現欲求」が首をもたげます。懸命に生きていれば、簡単にほめてくれないどころか、むしろ叱咤激励される「師匠」が見つかります。その師匠の生き方を見ていると、自分の足りない点や目指すべき姿が見えてきます。私は故・林雄二郎先生のように生きたいと憧れています。
 林先生は、1969年に『情報化社会』という名著で未来を予見し、日本財団やトヨタ財団など日本の社会貢献活動の先達をつとめ、90歳を過ぎても精力的に活躍していました。自分の専門領域を拡げながら、自分の潜在的な可能性を、死ぬまでずっと追求していく生き方に、私は強く惹かれるのです。
 しかし、真の「自己実現」は「自己満足」では得られないことにも気づきます。自分が気づいたこと学んだことを、より多くの人に広く活用して欲しいと願うようになるのです。東京商工会議所のIT推進担当役員や、日本財団CANPANセンターの理事として、インターネット活用の方法を、これまで1万人以上の方々にお伝えしてきました。さらに、明治大学講師、雑誌連載やビジネス書著書として、自分以外の人たちの「自己実現」支援=「他人実現」を達成することが生きがいになってきたのです。

 さらに「未来実現欲求」も、日に日に大きくなります。自分たちの子孫のために、美しい自然環境、地域固有の文化に根ざしたコミュニティ、愛情にあふれた手仕事の伝統などを、どうすれば未来に遺せるか、大きな責任を感じています。誇大妄想だと笑われるでしょうが、これまで培って来たスキルや、達人たちとのネットワークを、「私の死後はるか先に生きる人たち」の幸せに役立てたいと真剣に考えているのです。

A.「量的な拡大」よりも「質的な変化」を追いかける

2013年06月19日(Wed)更新

【新著連載】Q26.自信のあるアイデアなのにうまく伝わらない

15万部突破!『すぐやる!技術』の著者であり、当「経営者会報ブログ」のプロデューサーでもある久米信行さんの次回作ご執筆原稿をリアルタイムで公開させていただいております! ぜひコメント、トラックバックをお寄せください。

Q.自信のあるアイデアなのにうまく伝わらない

→A.「天の時、地の利、人の和」を熟成させよ

 起業家は、単にアイデアを思いつく人ではありません。ひらめきだけでは、成功できないことを良く知っているのです。アイデアを「天の時、地の利、人の和」を満たすまで熟成させ、戦略にまで昇華させる「粘り強い知情意の力」を兼ね備えています。
 達人たちは、どうやって、天の時、地の利、人の和を満たしていくのでしょうか?

●ロックな教授の出会い

 これまで私が出会って来た中で、最も先を見通した賢人は、慶應義塾大学経済学部時代のゼミの恩師、平野 絢子先生でした。平野先生のご専攻は「中国の経済改革」。日本の中国通の多くが、「毛沢東の文化大革命」を礼賛している時に、その問題点と進むべき経済の対内外解放政策を訴え続けていました。だからこそ、1978年に中国の大きな路線転換、現在の経済改革が始まった時に、人民日報の第一回の日本人留学生として招聘されたのです。そして、多くの人が中国の行方に懐疑的な中で、現在見られるような経済発展を予見されました。
 
 しかし、多くの中国と縁がある日本人のように中国べったりにはなりません。先生は、土地利用権や株式の売買と一人っ子政策の大きな弊害も指摘され、予言通り、その副作用が中国を揺るがそうとしているのです。そして、平野先生は、慶應大学を退官された後は、作新学院大学院のビジネススクールの新設に参画されて、「企業の集権と分権の最適化」を新テーマに取り組まれました。

●「天の時」=波が目の前に来るまで乗ってはいけない

 天の時を知る大切さについて、平野先生は、いつも「サーフィン」を例に話されました。「波をいちはやく見つけても、波が目の前に来るまで乗ってはいけない」と、私たちに釘を刺したのです。それは、先生のご経験に基づく考えだと、今は判ります。

 文化大革命で熱狂していた中国国内はもちろん、日本でも、平野先生の「中国の経済改革と発展戦略」のアイディアに耳を傾ける人は少なかったそうです。それどころか「無記名の郵便が届いて、カミソリが入っていた」ことさえあったそうです。きっと、平野先生が、マルクス主義経済学の教授で、父君が日本共産党創設の三大ブレインの一人でありながら、「反共産党、反文化大革命」を唱えた異端だったからでしょう。

 しかし、平野先生は嘲笑にも脅迫にも負けず、自分の意見を変えることはありませんでした。ひたすら孤独な研究を続けて、自分のアイディアを熟成させていきました。そして、50歳を過ぎた時に、中国で経済改革が始まり、まさに当事者から平野先生に白羽の矢が立ったのです。先生が、還暦のパーティの時に「自分が考えてきたことが正しかった。これからが私の青春だ」と高らかに話されたことが忘れられません。

●「地の利」=自分の分野の最先端を理解する

 それから、地の利を活かす大切さも、平野先生から学びました。ご存知のように、中国の国務院は、日本の経済発展戦略に学び、そのメリットとデメリットを、日本の官僚以上に研究しています。ですから、マルクス主義経済学だけでなく、日本経済の最先端も同時に理解する人財が必要だったのでしょう。だから平野先生だったのです。

 平野先生は、ありがちな学者=理論至上主義で「ヨコをタテにする=外国の原典をありがたく日本語にするだけ」ではありませんでした。例えば、コンピュータとネットワークの進化に着目し「完全な計画は完全な市場に一致する」と看破したのです。コンビニチェーンが使い始めたPOSシステムが経済全体に行き渡り、原材料の必要量まで推計できるようになった時に、初めて計画経済が可能になると予見しました。瞬時に巨額の資金を動かせる金融機関の「新人類ディーラー」にも着目していました。さらに、お金に頓着しない人が金融を動かす公益経済の始まりも予言されたのです。
 つまり、経済学者に珍しい徹底的な現場主義で、一見すると無関係な新事象を見つめ、独自の理論を構築して未来を予見しました。その上で、あるべき姿を提言するのです。

●「人の和」=未来を見通す達人とご縁を結ぶ

 さらに、人の和でも、平野先生をとりまくご縁の力は飛び抜けていました。多くの保守的な人たちからは冷遇されていたかもしれませんが、未来を見通す達人たちとの特別なご縁に恵まれていました。それは先生の不断の努力の賜物だったと思います。
 
 平野先生は、幼少期、恵まれた令嬢が通う聖心女子大学の付属校に通われましたが、学問の道を志して、東京女子大学に移られ、やがて、慶応義塾大学の経済学部で初の女性教授になりました。福沢諭吉先生が「男女同権」思想だったので教授になれたとおっしゃっていましたが、普通なら、そのまま安楽な道を歩むこともできたはずです。苦学をして、男性以上に恩師に認められなければ、教授にはなれなかったでしょう。
 
 先生はもともと東欧の研究家でしたが、第二次世界大戦後、中国で革命が起きた後、旧中国銀行の副頭取から「これからの中国を見守って欲しい」と請われて、研究対象を変えたのです。「エルベ川を初めて見た時に涙が出た」というほど思い入れがあったはずなのに、ご縁に導かれた大義で、新しい厳しい道を歩まれたのです。そして、耐え忍びながら中国の経済改革についての研究を深めて、晩年に中国から招聘されます。留学中も理不尽な体験をされたようですが、中国の国務院で何人かの「大人(たいじん)」に出会い、さらに研究を深められます。人の和でライフワークを築かれたのです。
 
 そして、大学退官後に、中国経済の研究者ながら、ビジネススクール新設への参画を求められたのも、先生の生き様を見ていた大学関係者とのご縁だったそうです。
 
 平野先生の教え子は、国会議員、学者、ジャーナリスト、経営者など各界で活躍しています。今も私の耳には「あなたが言いたいことを一言で言うと?」「なぜ?」という平野先生の問いかけが聞こえてきます。先生は、きっとご自身にも同じ問いかけを繰り返して、逆境の中でもアイディアを熟成させたのでしょう。「天の時、地の利、人の和」を大切にした独創的な生き方を、一人でも多くの若者に伝えていきたいのです。

A.「天の時、地の利、人の和」を熟成させよ

2013年06月18日(Tue)更新

【新著連載】Q25.公私混同のほうがうまくいく?

15万部突破!『すぐやる!技術』の著者であり、当「経営者会報ブログ」のプロデューサーでもある久米信行さんの次回作ご執筆原稿をリアルタイムで公開させていただいております! ぜひコメント、トラックバックをお寄せください。

Q.公私混同のほうがうまくいく?

→A.「ランチ道」を極めることからはじめよう

 起業家の多くは公私混同の達人です。といっても、仕事の利権を個人のために使うといった「悪い意味の公私混同」ではありません。「遊ぶように働き、働くように遊ぶ」達人なのです。
 達人は「真剣に遊びつつ、無意識に仕事のヒントを探す」「辛い仕事をしている時も、肩の力を抜いて遊び心を忘れない」人生を送っています。仕事をしながらも、会社を支えてくださる「お客様と同じ気持ち」になれる、素直な「私」の心を、いつも持ち合わせているのです。そして、不思議なことに、真剣に遊んでいる時ほど、経営者としての「公」の本能も活性化され、企業の未来を切り拓く「新商品・新サービス」がひらめくものです。さらに、ひらめきを形にする苦労や、新事業を広める苦労も、起業家にとっては「ゲーム」や「レジャー」と同じ楽しみなのです。

●地の利を活かした「ランチ道」を極めれば起業家力がアップ

 公私混同の入門として仕事場界隈の自腹「ランチ道」から始めてはいかがでしょう? 自己投資で、地の利を活かした「ランチ」を極めることで、起業家力がアップします。私の経営道の師、会社力研究所代表の長谷川和廣先生も、ご自身のお子さんへの帝王学として「舌を磨いた」とおっしゃっています。
 ベストセラー『社長のノート』シリーズで知られる国際派経営者の眼から見れば、洋の東西を問わず、一流の人物は味覚にも優れており、それは経営者としての感性にも比例しているということでしょう。
 
 私にとっての「ランチ道」入門は、社会人デビューした時の、つらいファミコンソフトの飛び込み営業の最中でした。見知らぬ街で、見知らぬ玩具店を探し出しては、厳しくあしらわれる中、唯一の楽しみはランチ。当時は、ラーメン好きでしたので、ひたすら、その街の美味しい店を見つけ出しては、ラーメンばかりを食べ歩きました。インターネットも情報誌も少ない時代ですから、まち歩きをしながら探します。不思議なもので「この店構えだと美味しそう」「この主人はこだわりがありそう」「この路地に美味しい店がありそう」というカンが少しずつ磨かれてくるのです。毎日、ラーメンを食べていると味覚が研ぎすまされ、ちょっとした味の違いにも敏感になります。

●繁盛店や店主の特別なオーラや見えない努力を感じ取る

 日興證券に転職してからも、銀座に近い地の利を活かして、「ランチ道」を極めることにしました。有名なお店から、路地裏の隠れ家まで、格安メニューを探しては、おひとりさまランチを楽しみます。日本一の高級グルメタウンですが、ランチタイムなら20代のサラリーマンでも手が届きますし、スーツ姿なら門前払いにはなりません。そこで「最高の味、最高のおもてなし」から、「親しみのある味、ほっとする店構え」まで、日本の食文化の奥深さの一端を見ることができました。そして、繁盛店とご主人や女将だけが持つ、特別なオーラや、見えない努力を感じ取れるようになりました。
 
 いよいよ、久米繊維に戻ってからは、会社界隈の墨田区周辺を食べ歩きました。
 実は、墨田区は、昔ながらの名店があるだけでなく、人口規模や立地の割には地価が安いこともあって、志と腕がある区外のオーナー料理人が、続々と店開きをしていました。エスニック料理から、蕎麦屋、カフェにいたるまで面白い店だらけなのです。意外にも、地元の経営者の先輩は、ご近所よりも、浅草、日本橋、銀座などに行ってしまうことが多いようでした。そして、情報誌も、東京スカイツリーが出来る前は、墨田区のことなど取り上げていなかったので、まさに未開の真空地帯だったのです。
 驚くことに、久米繊維にご来社された、ファッション業界やカタカナ職業のおしゃれな人ほど、路地裏の隠れ家的名店にご案内すると喜んでくれました。師匠の長谷川先生が看破されたように、センスの良い人ほど、人知れぬ美味しい店を紹介すると、私のセンスを認めてくださいます。その味が一流であればあるほど、久米繊維の商品も一流に見えるのです。さらに、私が、ネット・講演・コラムなどでご紹介した店が、口コミ、ネットコミで全国的な有名店になるという素晴らしい体験も味わえました。ご紹介した名店主が、久米繊維と商品を愛してくださることも大きな喜びでした。
 ありがたいことに、現在、私が全国の銘品名店の経営者と親しく交流し、ご一緒に商品開発やイベントができるのも、まち歩き観光の専門家として活躍できるのも、20代の時から、30年近く続けてきた、公私混同「ランチ道」のおかげなのです。

A.「ランチ道」を極めることからはじめよう
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ボードメンバープロフィール

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くめ のぶゆき氏

久米信行(くめ・のぶゆき)

1963年東京下町生まれのTシャツメーカー三代目。

慶應義塾大学経済学部卒業後、87年、イマジニア株式会社に入社。ファミコンゲームソフトのゲームデザイナー兼飛び込み営業を担当する。
88年に日興證券株式会社に転職し、資金運用・相続診断システムの企画開発、ファイナンシャル・プランナー研修で活躍。
94年に家業である久米繊維工業株式会社の代表取締役に就任。

日本でこそ創りえるTシャツを目指し、グリーン電力とオーガニックコットンを生かす環境品質と、
クリエイターとJapanCoolを共創する文化品質を追求。
個人的なTシャツコレクションも数千枚に及び、全国のTシャツアート展・ワークショップ・エコイベントを支援する。

明治大学商学部「ベンチャービジネス論/起業プランニング論」講師。NPO法人CANPANセンター理事。東京商工会議所墨田支部IT分科会長。社団法人墨田区観光協会理事。

著書に、10万部を突破した『考えすぎて動けない人のための「すぐやる!」技術』(日本実業出版社)、
Amazonでビジネス3部門第1位を獲得した『メール道』と『ブログ道』(ともにNTT出版)がある。
連載は、「経営者会報」「日経パソコン」「日経ネットマーケティング」「日経トップリーダー」ほか多数。

Twitter ID @nobukume
facebook+YouTube nobukume

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