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2013年04月26日(金)更新
【新著連載】Q06.「リスク」をとると人間関係はどう変わる?
Q.「リスク」をとると人間関係はどう変わる?
→A.社内外のキーパーソンと出会い、お客様の本音を聞ける
リスクをとると、人づきあいの広さと深さが大きく変わります。これまで会ったことのないスケールの大きな人・元気な人や、厳しくも温かい言葉で本音を語るお客様・取引先と接することになります。それだけでもリスクをとる価値があるのです。
バブル景気で浮かれる80年代に、私は日興證券で「ファイナンシャルプランナー」養成と、システム開発の新プロジェクトに参加しました。ただ株を販売するのではなく、貯金や税金の相談ができる「お金のホームドクター」を育てようとしたのです。
しかし、これはリスクの大きな取組みでした。社員の多くは、株の知識はあっても、他社の金融商品や税制の知識はありません。面倒な資産運用プランなど作らなくとも、株が上がればお客様も喜び、販売にもつながる時代でした。その上、まだ私は20代半ばの若造で、ゲーム会社からの中途採用。金融の知識も、営業経験もないのです。
ところが、このプロジェクトに参加したことで、私の人間関係は大きく広がります。
●社会の将来を考えるキーパーソン、自分の保身しか考えない中間管理職
まずは、社内の人間関係が広がりました。
小さくとも戦略的なプロジェクトでしたので、社長室、営業企画、システム企画、人事など、社内の企画部門の部長はじめ精鋭スタッフと、定例の会議で顔を合わせ、個別にも相談や調整に回ったからです。巨大な会社を実質的に動かしているキーパーソンの考え方、働き方を目の当たりにし、人間的な魅力に触れることができたのです。特に、私たち社外中途採用組を起用した社長室の稲葉喜一さんからは多くを学びました。
「今は株式営業で良くとも、将来は必ず米国のようにファイナンシャルプランナーが中心になること。だから今から進める必要があること。そのため、内のしがらみや過去の常識にしばられない外部人材が重要なこと」を教わったのです。同時に、自己保身しか考えないような「典型的なサラリーマン中間管理職」も目にしました。稲葉さんから、「大企業では役員目前の部長が、減点を恐れて一番リスクを取らない」ことも教わり、実感できたのです。
●お客様の本音から新しい相談スタイルを提案
それから、社外の達人たちとの人間関係も一気に広がりました。
なにしろお手本となるファイナンシャルプランナーが、社内にまだ誰もいません。マニュアルから研修プランまで、私たちがゼロから作らなけれならないのです。そこで、私は、社外で開催された養成講座に通うことになりました。まだ新しい資格だったので、講座には、感度の高い会計士、税理士などの先生方はもちろん、各金融機関から新規事業担当の精鋭が参加していました。講師陣も、新時代を切り開く著名人ばかりです。こうした金融達人たちとの交流は、私が経営者になった今も続き、大きな力になっています。
そして、実際に運用相談をして、お客様との交流も広がりました。お客様が喜ばなくては、優れたシステムでもタダの箱に過ぎません。
まずは、家族・親族・親しい知人など本音で語ってくれる人に、「証券会社をどう思うか?」「資産運用ではどんなことで困っているか?」と聴き歩きました。残念ながら「証券会社は信用できないので、困っていても相談しない」と判ったので「証券会社が普通は教えないことを話します」というお客様志向のスタンスで接することにしました。その結果、支店の講演会や相談でも、お客様は心を開いてくださり、良いシステム作りにつながったのです。
さらに、新プロジェクトでは、現場で協業するパートナーとの関係を広め深めなくてはなりません。私たちの新システムを、支店のセールスレディが活用してくれるかどうかが、成功のカギでした。私より、はるかに証券知識も営業経験もある優秀な全国のレディは、「本社がまた無駄遣いをして新しい使えないものを作った」と思っていたはずです。営業予算が大きく、忙しい中で、まさにリスクをおかして新しい相談スタイルを試していただくためには、信念をもって繰り返し「お客様のためにも、セールスのためにもなる」ことを伝え続ける必要がありました。その中で、優秀で忙しい人ほど、新しいシステムに挑戦してくれたことは、今も忘れられない感動体験です。
もしリスキーな新事業に参画しなければ、私の人間関係は貧しかったはずなのです。
A.社内外のキーパーソンと出会い、お客様の本音を聞ける
【バックナンバー】
Q04.「リスク」と「リターン」を見極めるコツは?
Q05.「リスク」をとって得られる最大の学びは?
→A.社内外のキーパーソンと出会い、お客様の本音を聞ける
リスクをとると、人づきあいの広さと深さが大きく変わります。これまで会ったことのないスケールの大きな人・元気な人や、厳しくも温かい言葉で本音を語るお客様・取引先と接することになります。それだけでもリスクをとる価値があるのです。
バブル景気で浮かれる80年代に、私は日興證券で「ファイナンシャルプランナー」養成と、システム開発の新プロジェクトに参加しました。ただ株を販売するのではなく、貯金や税金の相談ができる「お金のホームドクター」を育てようとしたのです。
しかし、これはリスクの大きな取組みでした。社員の多くは、株の知識はあっても、他社の金融商品や税制の知識はありません。面倒な資産運用プランなど作らなくとも、株が上がればお客様も喜び、販売にもつながる時代でした。その上、まだ私は20代半ばの若造で、ゲーム会社からの中途採用。金融の知識も、営業経験もないのです。
ところが、このプロジェクトに参加したことで、私の人間関係は大きく広がります。
●社会の将来を考えるキーパーソン、自分の保身しか考えない中間管理職
まずは、社内の人間関係が広がりました。
小さくとも戦略的なプロジェクトでしたので、社長室、営業企画、システム企画、人事など、社内の企画部門の部長はじめ精鋭スタッフと、定例の会議で顔を合わせ、個別にも相談や調整に回ったからです。巨大な会社を実質的に動かしているキーパーソンの考え方、働き方を目の当たりにし、人間的な魅力に触れることができたのです。特に、私たち社外中途採用組を起用した社長室の稲葉喜一さんからは多くを学びました。
「今は株式営業で良くとも、将来は必ず米国のようにファイナンシャルプランナーが中心になること。だから今から進める必要があること。そのため、内のしがらみや過去の常識にしばられない外部人材が重要なこと」を教わったのです。同時に、自己保身しか考えないような「典型的なサラリーマン中間管理職」も目にしました。稲葉さんから、「大企業では役員目前の部長が、減点を恐れて一番リスクを取らない」ことも教わり、実感できたのです。
●お客様の本音から新しい相談スタイルを提案
それから、社外の達人たちとの人間関係も一気に広がりました。
なにしろお手本となるファイナンシャルプランナーが、社内にまだ誰もいません。マニュアルから研修プランまで、私たちがゼロから作らなけれならないのです。そこで、私は、社外で開催された養成講座に通うことになりました。まだ新しい資格だったので、講座には、感度の高い会計士、税理士などの先生方はもちろん、各金融機関から新規事業担当の精鋭が参加していました。講師陣も、新時代を切り開く著名人ばかりです。こうした金融達人たちとの交流は、私が経営者になった今も続き、大きな力になっています。
そして、実際に運用相談をして、お客様との交流も広がりました。お客様が喜ばなくては、優れたシステムでもタダの箱に過ぎません。
まずは、家族・親族・親しい知人など本音で語ってくれる人に、「証券会社をどう思うか?」「資産運用ではどんなことで困っているか?」と聴き歩きました。残念ながら「証券会社は信用できないので、困っていても相談しない」と判ったので「証券会社が普通は教えないことを話します」というお客様志向のスタンスで接することにしました。その結果、支店の講演会や相談でも、お客様は心を開いてくださり、良いシステム作りにつながったのです。
さらに、新プロジェクトでは、現場で協業するパートナーとの関係を広め深めなくてはなりません。私たちの新システムを、支店のセールスレディが活用してくれるかどうかが、成功のカギでした。私より、はるかに証券知識も営業経験もある優秀な全国のレディは、「本社がまた無駄遣いをして新しい使えないものを作った」と思っていたはずです。営業予算が大きく、忙しい中で、まさにリスクをおかして新しい相談スタイルを試していただくためには、信念をもって繰り返し「お客様のためにも、セールスのためにもなる」ことを伝え続ける必要がありました。その中で、優秀で忙しい人ほど、新しいシステムに挑戦してくれたことは、今も忘れられない感動体験です。
もしリスキーな新事業に参画しなければ、私の人間関係は貧しかったはずなのです。
A.社内外のキーパーソンと出会い、お客様の本音を聞ける
【バックナンバー】
Q04.「リスク」と「リターン」を見極めるコツは?
Q05.「リスク」をとって得られる最大の学びは?
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