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2013年04月26日(金)更新

【新著連載】Q06.「リスク」をとると人間関係はどう変わる?

Q.「リスク」をとると人間関係はどう変わる?

→A.社内外のキーパーソンと出会い、お客様の本音を聞ける

 リスクをとると、人づきあいの広さと深さが大きく変わります。これまで会ったことのないスケールの大きな人・元気な人や、厳しくも温かい言葉で本音を語るお客様・取引先と接することになります。それだけでもリスクをとる価値があるのです。

 バブル景気で浮かれる80年代に、私は日興證券で「ファイナンシャルプランナー」養成と、システム開発の新プロジェクトに参加しました。ただ株を販売するのではなく、貯金や税金の相談ができる「お金のホームドクター」を育てようとしたのです。
 しかし、これはリスクの大きな取組みでした。社員の多くは、株の知識はあっても、他社の金融商品や税制の知識はありません。面倒な資産運用プランなど作らなくとも、株が上がればお客様も喜び、販売にもつながる時代でした。その上、まだ私は20代半ばの若造で、ゲーム会社からの中途採用。金融の知識も、営業経験もないのです。
 ところが、このプロジェクトに参加したことで、私の人間関係は大きく広がります。

●社会の将来を考えるキーパーソン、自分の保身しか考えない中間管理職

 まずは、社内の人間関係が広がりました。
 小さくとも戦略的なプロジェクトでしたので、社長室、営業企画、システム企画、人事など、社内の企画部門の部長はじめ精鋭スタッフと、定例の会議で顔を合わせ、個別にも相談や調整に回ったからです。巨大な会社を実質的に動かしているキーパーソンの考え方、働き方を目の当たりにし、人間的な魅力に触れることができたのです。特に、私たち社外中途採用組を起用した社長室の稲葉喜一さんからは多くを学びました。
「今は株式営業で良くとも、将来は必ず米国のようにファイナンシャルプランナーが中心になること。だから今から進める必要があること。そのため、内のしがらみや過去の常識にしばられない外部人材が重要なこと」を教わったのです。同時に、自己保身しか考えないような「典型的なサラリーマン中間管理職」も目にしました。稲葉さんから、「大企業では役員目前の部長が、減点を恐れて一番リスクを取らない」ことも教わり、実感できたのです。

●お客様の本音から新しい相談スタイルを提案

 それから、社外の達人たちとの人間関係も一気に広がりました。
 なにしろお手本となるファイナンシャルプランナーが、社内にまだ誰もいません。マニュアルから研修プランまで、私たちがゼロから作らなけれならないのです。そこで、私は、社外で開催された養成講座に通うことになりました。まだ新しい資格だったので、講座には、感度の高い会計士、税理士などの先生方はもちろん、各金融機関から新規事業担当の精鋭が参加していました。講師陣も、新時代を切り開く著名人ばかりです。こうした金融達人たちとの交流は、私が経営者になった今も続き、大きな力になっています。
 そして、実際に運用相談をして、お客様との交流も広がりました。お客様が喜ばなくては、優れたシステムでもタダの箱に過ぎません。
 まずは、家族・親族・親しい知人など本音で語ってくれる人に、「証券会社をどう思うか?」「資産運用ではどんなことで困っているか?」と聴き歩きました。残念ながら「証券会社は信用できないので、困っていても相談しない」と判ったので「証券会社が普通は教えないことを話します」というお客様志向のスタンスで接することにしました。その結果、支店の講演会や相談でも、お客様は心を開いてくださり、良いシステム作りにつながったのです。
 さらに、新プロジェクトでは、現場で協業するパートナーとの関係を広め深めなくてはなりません。私たちの新システムを、支店のセールスレディが活用してくれるかどうかが、成功のカギでした。私より、はるかに証券知識も営業経験もある優秀な全国のレディは、「本社がまた無駄遣いをして新しい使えないものを作った」と思っていたはずです。営業予算が大きく、忙しい中で、まさにリスクをおかして新しい相談スタイルを試していただくためには、信念をもって繰り返し「お客様のためにも、セールスのためにもなる」ことを伝え続ける必要がありました。その中で、優秀で忙しい人ほど、新しいシステムに挑戦してくれたことは、今も忘れられない感動体験です。 
 もしリスキーな新事業に参画しなければ、私の人間関係は貧しかったはずなのです。

A.社内外のキーパーソンと出会い、お客様の本音を聞ける

【バックナンバー】
Q04.「リスク」と「リターン」を見極めるコツは?
Q05.「リスク」をとって得られる最大の学びは?

2013年04月24日(水)更新

【新著連載】Q05.「リスク」をとって得られる最大の学びは?

15万部突破!『すぐやる!技術』の著者であり、当「経営者会報ブログ」のプロデューサーでもある久米信行さんの次回作ご執筆原稿をリアルタイムで公開させていただいております! 
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Q.「リスク」をとって得られる最大の学びは?

→A.チャンスを見抜く知恵、事業を起こす実力

 本当の学びは、自らリスクをとって「成功の喜び」も「失敗の痛み」を体感することで得られます。学生時代の試験勉強のように、誰かにやらされた受身の勉強、答えが決まっていて、すぐに点数が判るような机上の勉強は「真の学び」ではありません。もう一度、成功してあの喜びを味わいたい、もう二度とあの失敗の痛みは味わいたくないと心から思うからこそ、自ずと勉強したくなるのです。
 そして、挑戦を繰り返すうちに、答えは「教科書」ではなく「現場」にあること、「リスク」と思っていたことが、実は「チャンス」だということを、「頭」ではなく「体」で理解することでしょう。

●リスクをチャンスに変える知恵は挑戦が教えてくれる

 私の社会人デビューは、ファミコンソフトの飛び込み営業でした。自社ソフトの発売日に、ある量販店に行ったら行列ができています。苦労して売り込んだソフトですから感無量です。それだけ確認して帰ることもできたのですが、どうも様子が変です。行列した子供が全員買うのではなく、グループの一人だけが買って、どこかへ去ってしまうのです。不思議に思って子供たちにどこへ行くのか質問すると「コピーしに行く」と一言。つまり、当時ディスクで提供されていたソフトを、子供たちは安価に違法コピーできることを知っていたわけです。私はショックを受けて、会社に帰ってすぐ報告。その後、自分で調べて「ディスクコピーの現状」をレポートを作成しました。社長に「ディスクで作ったソフトに未来はない」と進言して、受理されたのです。
 もしも私が量販店に電話して、売れた本数だけ確認していたら、もっと被害は広がっていたかもしれません。子供たちの異変に気づかなければ(リスク感知力)、次回作もディスクで作っていたかもしれないのです。そして、ただ落ち込むのではなく(リスク耐性)、自分で現状を調査して、思い切って社長に進言しました(リスク突破力)。
 この貴重な体験から、お客様との対話を自ら行なわず、データだけを見て判断する「リスク」を「体」で理解しました。現場に行って、自分の目で見て、自分の頭で考え、自分で動くことでしか、真のリスクを知ることも乗り越えることもできないのです。
 それから、リスクとチャンスが裏表の関係にあること、リスクをチャンスに変える知恵があることも、実際に挑戦をしなければ体得できません。

●10人中9人が否定したファミコンソフトが大ヒット

 日本初の「株式投資シミュレーション」のファミコンソフトを企画販売した時の学びも、私にとって大きな財産です。日本で初めてということは「売れるかどうかもわからない」ということです。問屋も小売店もリスクをおかして積極的に買えないということを意味します。さらに、価格を通常のゲームの2倍に設定するという冒険をしました。10人に話したら、9人が「売れっこない」という状況でスタートしたのです。
 しかし、私は飛び込み営業の現場体験から、流通業=プロの評価よりも、お客様=アマチュアの評判や、マスコミ発のクチコミが大切だということを理解していました。日本で初めてだからこそ、うまくPRすれば、評判とクチコミを生み出すことができます。当時はバブル景気の始まりで株式投資ブームが起こりつつありました。しかも、ゲームの監修は、すでにベストセラー作家だった株式評論家の松本享先生です。
 幸運にも、人財不足のベンチャー企業だったので、私は、このゲームの企画、営業、宣伝広報のすべてに関わることができました。新聞から深夜番組まで取材対応や出演をこなし、大手書店や玩具店の店頭でデモまでしました。マスコミやデモの評価は賛否両論で、半分は「子供に株を教えるなどけしからん」という論調でした。おそらく大企業だったら、批判的な評価を気にしてPRを控えるか、怒るかすることでしょう。でも、私たちは、某新聞社の社長から「良い評判も悪い評判も評判のうち=営業に役立つ」と教わっていたので、批判されることもリスクではなくチャンスだと感じていました。そして….結果は、売り切れ続出のヒット作になったのです。
 つまり、日本初の斬新な商品を作ることに挑戦し(リスクと裏返しのチャンス感知力)、人から売れないと笑われたり、マスコミの半分から批判されることに耐え(チャンスを信じるリスク耐性)、時代のトレンドを読んで、良いパートナーの力を借りる(チャンスを活かすリスク突破力)知恵を、このプロジェクトで学んだのです。 

A.チャンスを見抜く知恵、事業を起こす実力


【バックナンバー】
Q04.「リスク」と「リターン」を見極めるコツは?

2013年04月23日(火)更新

【新著連載】Q04.「リスク」と「リターン」を見極めるコツは?

15万部突破!『すぐやる!技術』の著者であり、当「経営者会報ブログ」のプロデューサーでもある久米信行さんの次回作ご執筆原稿をリアルタイムで公開させていただいております! 
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Q.「リスク」と「リターン」を見極めるコツは?

→A.「失敗の痛み」と「成功の喜び」を繰り返し体感すること

 自分がとるべき「リスク」と「リターン」の見極め方を学ぶ王道は、たった一つしかありません。それは、実際に「前向きなリスク」を修羅場に立って主人公になることです。そして、若いうちほど手痛い失敗を重ねることです。「頭で覚えるより、体で覚えること」「考えるより、感じること」が大切なのです。

●みんなとプロが良いと言ったときほど「危険なとき」はない
 
 たとえば、近年、日本人が最も大きなリスクにさらされた「バブル崩壊」時のことを思い出してみましょう。よりによって、私は、その当時、バブルのまっただ中、日興證券本社の営業開発部に務めていたのです。亡き父に言わせれば、日興證券での修羅場を通じて得られたものが、私にとって「いちばんの財産」ということになります。
 バブル崩壊=株価の大暴落は、誰もが、日経平均4万円突破を疑わない「一億総楽観」の中で起こりました。有力新聞やビジネス雑誌でも、名だたるアナリストや経済評論家たちが、来年は株価も上昇してもっと良い年になると書き立てていたのです。
 それは証券会社内部でも同じこと、お客様をだましたのではなく、自分で自分をだましたかのように社員まで「株は上がり続ける」と信じていたのです。恥ずかしながら私も上司の勧めで、なんと暴落直前に「日興證券」株を給料天引きの借金で買ってしまいました。そして会社を辞めてから半値以下で売るという憂き目に遭うのです。
 このバブル崩壊の手痛い失敗を味わって以来、「みんなが良い」と言ったとき、特に「識者やプロがそろって良い」と言ったときほど、「危険なとき」はないと、直感的に疑うようになりました。もし、この「リスク感知力」を持っていなかったら、この20年の激動期に金融機関の言いなりになって大きな損失を被り、会社をつぶしていたでしょう。

●危機を回避しながら乗り切る「リスク突破力」

 さらに、リスクを感知した後で、危機を回避しながら乗り切る「リスク突破力」も大切です。大暴落の経験から、識者の意見にも、プロのノウハウの中にも、正解があるとは限らないと私は肝に銘じます。
 たとえば、名門の都市銀行が破綻し、合併を繰り返すとは、誰も思わなかったはずです。こうした想定外の事が重なる時に、教科書などありません。達人の参考意見を集めるにしても、最後は自分の頭で考え、自分で動かねばなりません。そこで、私が家業の久米繊維を引き継いでからは、危ない都市銀行との取引を止め、健全な銀行に絞り込みつつも、一行に頼らないようバランスをとりました。そこまでするかと支店長に呆れられ、時には脅されました。しかし、もしすばやく英断しなければ、私たちまで銀行の経営破綻に巻き込まれていたでしょう。
 こうした危機的な状況で役立ったのは、リスクをとって挑戦し続けてきた先輩経営者たちとの勉強会での交流でした。さらに、10年先を見てリスクのある研究を続けてきたITや環境問題のスペシャリストたちとの学会での勉強も大変重要でした。
「前向きなリスク」をとる達人たちは、たとえ知識や経験に乏しい若輩者でも、挑戦する若者に共感してくれます。そして、素直に耳を傾けて「すぐやる」「やり抜く」若者を応援してくれます。こうした「リスクを乗り切る達人」たちとのありがたいご縁があれば、「リスク突破力」は倍増します。だからこそ、私たちは、インターネットをいちはやく活用し、環境にやさしい商品を開発して、お客様の信頼を得られたのです。

●リスクを乗り越えることが「自分の価値」「人生の意味」

 こうして、若いうちからリスクをとりながら、失敗と成功を繰り返して行くうちに「リスク耐性」が高まっていきます。以前より、リスクをとる時に怖くなくなります。リスクをとった後うまく行かないことがあっても、慌てず対処できるようになります。さらに、失敗した後も落ち込みすぎず、教訓を得て再挑戦しようと思うのです。
 正直に言えば、私が経営している会社がつぶれるのではと、これまで何度も思ったことがありました。そのたびに怖くなり眠れないこともありました。しかし、大きな危機を乗り切るたびに、あの危機に比べれば「大したことない」「何か方策がある」「何とかなる」という前向きな気持ちがわいてきて、自分を励ましてくれるのです。
 それだけではありません。いつしか「リスクを楽しむたくましさ」が身についてくるのです。新しい挑戦をすること、リスクを乗り越えることが、自分の価値であり、人生の意味であるとさえ思うようになります。まさに「起業家体質」に変わるのです。

A.「失敗の痛み」と「成功の喜び」を繰り返し体感すること

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2013年04月22日(月)更新

【新著連載】Q03.「リスク」をとったらどんな変化がありますか?

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Q.「リスク」をとったらどんな変化がありますか?

→A.自分のスキルが磨かれる、多くの師匠と出会える

 リスクをとったその時から、世界の見え方と自分の見え方が変わります。毎日の時間の流れ方も、見慣れた風景の見え方も変わります。そして、付き合う人の顔ぶれも会話の中身も変わります。何より、自分自身が変わることに驚くことでしょう。
 今だから言えますが、もともと私は自分から積極的に動く人ではありませんでした。子供のころから受身な上「ものぐさ信ちゃん」と呼ばれるほど怠惰だったのです。

●百戦錬磨の経営者たちとの真剣勝負で「修行」

 しかし、人間は環境で変わります。中でも、リスクの中に自分の体を置くと、目の色が変わって、自然に変化に対応しようと体が動きはじめるのですから不思議です。
 たとえば、私にとって一番大きなリスクをとったのは、家業の久米繊維工業に戻る決意をした時でしょう。しかも父の考えで、30歳そこそこの若造が、知識も経験もないのに、会社に戻った瞬間、「代表取締役副社長」の名刺を持たされたのです。そして、私の生涯賃金の何倍にもなるような借金の連帯保証人になりました。
 任された仕事は、集金係と称しながら内情を聞き出して、良いお客様にはさらなる売り込みを、危険なお客様には現金取引への変更を行なうという辛いものでした。なにしろ、私のお相手は、百戦錬磨の一国一城の主、繊維問屋や広告代理店の経営者や番頭さんです。一応、副社長、社長の息子として扱ってはくれますが、心の中では私の値踏みをして、スキあらば良い条件を勝ち取ろうとしています。言わば真剣勝負です。もちろん、痛い目にも合いましたが、この時ほど勉強になったことはありません。
 なにしろ、こちらは中小企業とは言えオーナー経営者、株主ですから会社のお金は自分のお金です。金の取りっぱぐれで会社がおかしくなれば、持ち株がゼロになるだけではく、多額の借金の肩代わりまでしなければなりません。ですから、集金係自体は誰でもできるルーティンワークですが、私の場合は真剣さが違いました。経営者や担当者のお話のみならず、顔色や、社員の働きぶり、倉庫の在庫まで、五感と直感をフルに働かせて、お取引先の勢いを感じ取らねばならないのです。

●真剣だからこそ、相手を知るセンサーと直感力が磨かれる

 こうした修行のような仕事をしている時は、あっという間に時間が過ぎ去ります。しかし、時間の密度が違います。短い訪問や面談時間の中で、いかに多くの情報をキャッチできるか真剣だからです。やっていることは毎月の繰り返しですが、訪ねるたびに、その会社のことや経営者のことが深く理解できるようになります。
 見慣れたお客様の事務所も、毎回違って見えてきて新しい発見があるのです。センサーと直感力が磨かれ、お客様の知識のデータベースが自分の中に蓄積されます。そして、あっという間の一年を振り返ると、知らず知らず身に付いた知識やスキルに驚かされるのです。
 もちろん、対人関係も豊かになっていきます。ただの集金相手ではなくて、まるで人生の先生のように思える方もいらっしゃいます。どうすれば、お客様のことをもっと知ることができるか、営業・コミュニケーション・与信管理などの本も山ほどよみ、セミナーにも積極的に参加しました。
 多くの師匠に出会うと同時に、中の仕事を真剣にやればやるほど、外の世界や知識に触れないといけないことも、この時学びました。

●危機的な状況でも「失敗の程度」が直感できるように

 こうした修行を3年も続けていると、自分が自分に下す評価も変わってきます。修羅場をくぐり抜けるうちに、自然に肚がすわってきて、「意外に自分もやるな。できるな」と思うようになるのです。そして、危機的な状況になっても「何とかなるな」「失敗してもこの程度で収まるな」と相場が直感できるようにもなります。何より驚くのは、いつしか「修羅場を楽しみ、乗り切ることに喜びを感じる自分」に変わったことです。
 ゲームと金融の世界しか知らなかった私が、自分の父より年上の先輩経営者、自分たちより何十倍も大きな老舗企業と、厳しい条件交渉をする。そんな、嫌で嫌で怖くて怖くてしかたなかった状況でも、まるで「チャレンジしがいのある試合」のように楽しんで出かけられる自分に、わずか3年で変わることができました。
 リスクを恐れず、変化を先取りして挑むことは、いずれ「辛いこと」から「楽しいこと」に変わります。さらに、スキルアップと人脈形成にもつながり、チャンスをものにできるのですから、若いうちにリスクをとって損をすることはないのです。

A.自分のスキルが磨かれる、多くの師匠と出会える

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2013年04月22日(月)更新

【新著連載】Q02.そもそもリスクとはどういうものでしょうか?

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Q.そもそもリスクとはどういうものでしょうか?

→A.リスクとは「成長のために欠かせない栄養素」

「リスク」を、辞書で調べてみると、【1 危険。危険度。また、結果を予測できる度合い。予想通りにいかない可能性。「―を伴う」「―の大きい事業」「資産を分散投資して―の低減を図る」2 保険で、損害を受ける可能性。(大辞泉) 】とあります。これだけを見ると、リスクは「避けたり小さくしたりすべき悪いもの」に見えます。
 しかし、Wikipediaを見ると、【リスク (risk) の定義にはさまざまあるが、一般的には、「ある行動に伴って(あるいは行動しないことによって)、危険に遭う可能性や損をする可能性を意味する概念」 と理解されている】とも書かれています。ここで注目すべきは「行動しないことによって」も危険に遭ったり損をする可能性があるとの指摘です。「何もしないこと」で、逆に「リスクが高まること」もあるわけです。

●「十年に一度、新しい改革に挑戦しないと企業はつぶれる」

 私は国産Tシャツメーカーの三代目経営者ですが、父からは「十年に一度、新しい改革に挑戦しないと企業はつぶれる」と厳しく教えられてきました。ドルショック、オイルショック、バブル崩壊、デフレスパイラルなど激動の中で、か弱き中小製造業が生き延びてこられたのも「十年に一度、新しい改革に挑戦」してきたからなのです。
 たとえば、父は、祖父から肌着メーカーを引き継いだ後、日本で最初にTシャツ作りに挑戦しました。「Tシャツ」という名前が受け入れられず「色丸首」と呼びかえてのリスキーな挑戦だったのですが、もし肌着にこだわっていたら、とっくに大メーカーや中国製品との競争に敗れていたでしょう。続いては、VANやJUNというブランドの下請けをしながら、自分たちでもブランド作りに挑戦して、脱下請けを目指しました。これも同業者からは笑われましたが、メーカーとして自立する第一歩になりました。
 さらに、FAXの普及を好機として、異業種の法人向けに、現金取引で小口数量のオープン販売をする新会社を作りました。メーカーが直販をするのかと旧来の問屋さんからはクレームもあったそうですが、もしここでお客様の幅を拡げていなかったら、バブル崩壊後に廃業に追い込まれていたでしょう。
 幼い頃から、こうした父の挑戦を見ていたからこそ、私は、インターネット、エコロジー、ソーシャルビジネスといった新境地に、リスクを恐れず挑戦できたのです。

●「リスク」を小さくしながら、「リターン」を大きくする
 
 それから、「日本国語大辞典」では、リスクに関しての名言も紹介しながら、こんなユニークな定義をしています。【〔名〕({英}risk )危険。また、冒険。(中略)*小林多喜二問題〔1947〕〈小田切秀雄〉一「賭けの精神、リスクを求める態度」 】
 つまり、「リスク」を「冒険」と前向きに訳した上で、あえて「賭けの精神」で「リスクを求める」人がいるということを、例に挙げているのです。これは、尊敬する起業家の先輩や仲間を見ても、また私自身のことを振り返っても納得のいく考え方です。
 私は、かつて証券会社で、資産運用の金融商品ポートフォリオ(組み合わせ)作成システムを作り、「リスク(損をする可能性)」を小さくしながら、「リターン(利益)」を大きくする提案をしていました。
 原則として「リスク」と「リターン」は連動します。「高いリターン」を得るためには、貯金よりも株式を増やして「高いリスク」を取る必要があります。もちろん、欲をかいて深い考えもなく「高いリターン」ばかりを追い求めると失敗します。予測が外れたり思いがけない事が起きた時「高いリスク」の代償で致命傷を負うのです。
 しかし「ほど良いリスク」に挑戦すれば「ほど良いリターン」を得られます。失敗しても致命傷にならず、むしろ大きな学びを体験できます。「リスク」を、半ば楽しんで成長しながら、より賢く「リスク」をとれるようになります。そして、より安全に「高いリターン」を得られるようになるのです。
 つまり、私にとって起業家とは「ただ業を起こす」人ではなく、「危険を上手に避けながら(リスク感知力)、適度な冒険を楽しみ(リスク耐性)、自分と組織を成長させ、時代に合わせる(リスク突破力)を兼ね備えた人」なのです。言い換えれば、起業家にとって、リスクとは「成長のために欠かせない栄養素」なのです。ところが、子供が、ホウレンソウやニンジンなど栄養のある野菜を嫌うように、多くの大人は、自己成長に必要なリスクを避けてしまうのです。

A.リスクとは「成長のために欠かせない栄養素」

2013年04月22日(月)更新

【新著連載】Q01.起業家にとって一番大切なことは?

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Q.起業家にとって一番大切なことは?
 
→A.リスクをとらないリスクを知って、人生を果敢に切り開くこと
 
 起業家もサラリーマンも、自分が大切だと思う気持ち、安定が欲しい気持ちに、変わりはないでしょう。ただ、リスクとチャンスに対する考え方が違うので、行動に大きな差が生まれてしまうのです。もっとわかりやすく言うならば、「よりはやく動かなければ危険」と考える人と、「下手に動いては危険」と考える人の違いでしょう。
 
●役員手前の部長が、一番新しいことをやりたがらない
 
 私は、20代に、バブル華やかなりし大手証券会社で、新規事業を企画運営する仕事をしていました。その会社は飛ぶ鳥も落とす勢いだったにも関わらず、本社には新しいことをよしとしない文化があって、企画を通すのに苦労をしたことがあります。
 そんな時、私が尊敬する経営企画のキーパーソンから驚くべきことを教えていただきました。それは「役員手前の部長が、一番新しいことをやりたがらない」という法則でした。つまり、大企業の部長にとっては、「新規事業などに挑戦して、目覚ましい業績を挙げる」ことより「大きなミスをしでかして、出世に響くようなリスクを徹底して避ける」ことのほうが大切だというのです。
 大企業の部長となれば、多く中小企業よりも大きな組織を率いるリーダーです。それなのに、バブル崩壊と金融改革前夜なのに「寄らば大樹の蔭」で、嵐の過ぎ去るのを何もせずに待とうとする「保身」ぶりに驚きました。
 
●「何もしないリスク=リスクをとらないリスク」
 
 一方、グローバルな構造改革とデフレスパイラルの中で生き伸び、勝ち残ろうとする、ベンチャー企業や老舗企業の起業家たちは違いました。時代に合わせて、常に革新を続けなければ、あっという間につぶれてしまうと考えていたのです。「何もしないリスク=リスクをとらないリスク」の恐ろしさを、よく知っていたのです。同時に、うまくライバルに先んじて新規事業が軌道に乗れば「大きな先行者利得」を得られるチャンスも心得ていました。リスクをとって、人よりもはやく上手く動くことで、リスクは小さくなり、チャンスは大きくなることを、数々の失敗といくつかの成功を経て、深く体感し、心の底から確信するに至ったのです。
 事業の成功と失敗が、自分の懐具合や地位と直結する起業家と、一定の給料と身分が保証されたサラリーマンでは、本来リスクの大きさも違います。サラリーマンは会社のお金で賭けをしているのですから、本来なら、もっとリスクをとってもいいはずです。しかし、リスクをとって失敗した人は評価されない減点法に加え、事業の成否で給料などが大きく上下しない報酬体系では、腹の据わった起業家は育ちにくいものです。たとえ学歴などでは負けていても、自分のお金で賭けて儲けも損も自分の才覚次第の起業家は、いくつもの修羅場を経て磨かれて行きます。長い年月のうちには、ストレスに強い胆力、チャンスを見つける直感力に大きな差が出てきてしまうでしょう。
 
●「新しい仕事」「難しい仕事」「笑われる仕事」で磨かれる
 
 起業家を目指すみなさんには、とにかく20代30代のうちにリスクのある挑戦をしてもらいたいのです。どれだけ多くのリスクをとれるか、修羅場を味わえるかで、将来の「起業家力」が変わってきます。
 もちろん、最初は小さな挑戦から始めてかまいません。たとえ大企業勤めのルーティンワークであっても、与えられた仕事をこなしつつ、新しいお取引先、新しい方法、新しい商品に取り組む時間を作ればいいのです。
 リスクをとって挑戦することによって、自分のスキルも度胸も人付き合いも変わってくることに気づくはずです。やがて、自信がついてきたら、上司に、そして人事担当者に、「より新しい仕事」「より難しい仕事」をしたいと希望を伝え続けましょう。少しずつ社内起業家にふさわしい仕事に配属されるようになるはずです。新規事業などの難しい仕事に希望して回されるなんてと、まわりは驚き笑うでしょうが、気にする必要はありません。リスクをとって、人に笑われるような仕事を進んで請け負うことで、「起業家力」は磨かれて行くのです。
 
A.リスクをとらないリスクを知って、人生を果敢に切り開くこと

2013年04月22日(月)更新

【今夏出版予定! 久米信行さんの新著を当ブログで連載開始!!】

こんにちは! 日本実業出版社の前川健輔でございます。
 
久米信行さんのご著書『考えすぎて動けない人のための「すぐやる!」技術』は、
2008年8月の発行から5年が経ったいまも、多くのみなさまに読んでいただいております。
 
これも経営者会報ブロガーの方々をはじめ、みなさまのご支援のおかげです。
あらためてお礼申し上げます。
 
このたび、弊社より、新たな本を出版させていただくことになりました。
書籍のテーマは「起業家・経営者に学ぶリスクのとり方」です。
 
経営環境が目覚ましいスピードで変化するなか、
「リスクをとらないことこそ、最大のリスク」ということを、
みなさまも常日頃感じていらっしゃるのではないでしょうか?
 
また、リスクに果敢に挑む、頼もしい社員は、
経営者のみなさまから見てもたいへん頼もしいのではないでしょうか? 
 
そこで本書では、
起業を志す人、経営者の思考や行動を身につけたいビジネスパーソンに向けて、
「リスクのとり方」を紹介する本として企画しました。
 
創業期ITベンチャー、大手金融機関新規事業、久米繊維工業の第二創業、IT系や地域おこし系NPO法人などの、
久米さんの起業体験と修羅場体験のエピソードをもとに書き下ろしていただきます。
 
社員や部下に「経営者視点」を身につけてほしい経営者のみなさまにも、
周囲の方々にご紹介いただけるような本をつくっていきたいと考えています。
 
今回の本も、これまでの久米さんのご著書と同様に、
製作途中の原稿を当ブログ上で、公開させていただきます。
 
今回の本も、経営者会報ブロガーのみなさま、経営者会報ブログをご覧のみなさまと、
一緒につくあげていく本にしたいと考えております。
 
今後とも、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
 
●久米信行・新著情報ページ
 
●「すぐやる!」シリーズ 著者 久米信行&編集者 前川健輔ブログ
 
●経営者会報ブログ

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ボードメンバープロフィール

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くめ のぶゆき氏

久米信行(くめ・のぶゆき)

1963年東京下町生まれのTシャツメーカー三代目。

慶應義塾大学経済学部卒業後、87年、イマジニア株式会社に入社。ファミコンゲームソフトのゲームデザイナー兼飛び込み営業を担当する。
88年に日興證券株式会社に転職し、資金運用・相続診断システムの企画開発、ファイナンシャル・プランナー研修で活躍。
94年に家業である久米繊維工業株式会社の代表取締役に就任。

日本でこそ創りえるTシャツを目指し、グリーン電力とオーガニックコットンを生かす環境品質と、
クリエイターとJapanCoolを共創する文化品質を追求。
個人的なTシャツコレクションも数千枚に及び、全国のTシャツアート展・ワークショップ・エコイベントを支援する。

明治大学商学部「ベンチャービジネス論/起業プランニング論」講師。NPO法人CANPANセンター理事。東京商工会議所墨田支部IT分科会長。社団法人墨田区観光協会理事。

著書に、10万部を突破した『考えすぎて動けない人のための「すぐやる!」技術』(日本実業出版社)、
Amazonでビジネス3部門第1位を獲得した『メール道』と『ブログ道』(ともにNTT出版)がある。
連載は、「経営者会報」「日経パソコン」「日経ネットマーケティング」「日経トップリーダー」ほか多数。

Twitter ID @nobukume
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