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2008年01月17日(木)更新

【社長のためのブログ道】vol.13 事業承継にブログを活かす

けいかい12
久米信行氏の『社長のためのブログ道』は
「月刊 経営者会報」にて好評連載中です。
詳細とご購読のお申し込みは、
http://www.njh.co.jp/njs/keikai.htm 
をご参照ください。(編集部)

●事業承継にブログを活かす

中小企業にとって、事業承継問題は
最も重要な経営課題の一つでしょう。

自社株や相続税の問題ばかりではありません。
後継者が、社員、取引先、金融機関、株主などのステークホルダーから
先代にもまして信用を得られるかどうかも大きな問題です。
その意味で、新しい事業承継策の一環として提案したいのが、
社長と同時に、後継者がブログを始めることです。
 
■ブログで後継者の姿が見える

中小企業では往々にして経営者の発言ばかりが目立ちがちですが、
後継者候補がブログを始めれば、社員、取引先、金融機関も、
次期社長がどんな夢と理念をもっているのか、
日々目にすることができます。

計画実行力や持続力を兼ね備えているかどうかも
ブログから伝わるでしょう。
さらに、先代から何を引き継ぎ、何を改革しようとしているかも伝わり、
企業の十年後の姿も自ずとイメージされていくことでしょう。

こうして後継者の能力・人格や経営理念・ビジョンに、
社内外の関係者が共感できるようになれば、
自ずと信用が集まり、ファンも増えていくはずです。
 
■後継者候補全員でブログ競争

もしも経営者候補が何人かいらっしゃるようでしたら、
社長と一緒に候補者全員でブログを始めることを提案してはいかがでしょう。

社長の目から各自のブログを読めば、

・誰が経営理念や方針を血肉にしているか
・新しい発想をもっているか
・社内外に良縁を広げているか

などを、じっくり感得できるはずです。

さらに、後継者候補のブログを、
主要な役社員、取引先、金融機関などにも読んでもらい、
定期的に意見を聴くのもよいでしょう。
それぞれの立場の方々が「後継者として誰がふさわしいと見ているか」がわかり、
決断の参考にできると思います。

もちろん、後継者候補同士で、それぞれブログを読みあって、
褒めあうコメントをするのもお勧めです。
各部門の利害代弁者としてコミュニケーションが疎かになりがちな、
リーダー間の相互理解を深めていくことにもなります。

ところで、かつて
GEのジャック・ウエルチ氏がCEOに大抜擢されたのは、
トップが全役員に発した「自分以外なら誰がCEO適任者か」
という問いへの答えが鍵になったそうです。
「自分以外で」と「個別」に尋ねるところが
利害関係を排除するポイントのようです。

中小企業でも、同様の問いを役員のみならず社員にまで広げて、
個別に投げかけるとよいかもしれません。
この際、ブログで候補者のことが知られていることが重要になるでしょう。

創業者やオーナーが先代だった場合、
代替わりで求心力が落ちてしまいがちですが、
他部門からも信任が厚い人を選べば、
そうしたマイナス面に関しても、
最小限にすることが期待できるのではないかと思います。
 
■後継者が決まっている場合は

同族経営の中小企業では、
暗黙の了解で次期後継者がご子息などに決まっている場合も多いでしょう。
そんな場合も、後継者ブログが役立つはずです。

こうした場合、あえて後継者のみがブログを立ち上げるのも一法です。
そこで父からの教えも合わせて発信すれば、
優れた経営のDNAを受け継ぎ、ITも駆使できる後継者像を
アピールすることができるでしょう。

私も実質創業者を父にもつ同族後継者でした。
社内外から「お坊ちゃん」と見られる
冷たい視線を感じながら仕事をしていました。

そんな時期にメルマガなどで情報発信をして、
社内外に理解者を増やしていくことで、
少しずつ自信がつき信用も積み上げられたと思います。

事業承継のタイミングも、ブログで判断できる日が来るかもしれません。
後継者ブログのほうが来訪者数、記事数や内容、行動計画の新しさ、
そして何より夢と志の大きさで、
先代に追いつき、凌駕する兆しが見えてきた時に、
バトンタッチをするのです。

私も、いつかそんな、“八方喜ぶ”事業承継をしたいと考えています。
 
■後継者ブログ 7つの心得

最後に、後継者がブログを書く時の留意点を記します。
まずは、新し物好きで伝統を省みない、
贅沢で派手好き、頭でっかちで数字や現場に弱いといった
「ありがちな後継者」のイメージを意識します。
その悪いイメージを払拭するように書くのです。

すなわち先代を重んじ、地に足を着けつつ、
進取の精神をもって挑戦していく「バランスの取れた後継者」の姿を目指します。
具体的には以下のポイントを押さえて書かれるとよいと思います。

・先代社長の理念を守り、言葉を引用する。
 同時に先代のコピーにとどまらずプラスαを書く
・各現場と知恵や工夫に気づいて褒める
・お取引先が喜んでくださる紹介記事を書く
・大きな夢・志について繰り返し書く
・具体的な行動や、経営数字に基づいて書く
・贅沢な遊びの話より、日々学んだことを書く

経営者会報ブログの場合、
共通カテゴリ=経営課題に関する記事を
一つずつ書いては埋めていくのもよいでしょう。
きっと、バランスの取れた能力開発に役立つはずです。
その記事を書くために、
書籍やセミナーで勉強したり、
現場スタッフに学んだりすることになるからです。

次回は「ブログで経営理念と社会貢献をPRする」です。

ブログ道
■くめ のぶゆき氏 1963年生まれ。87年、慶應義塾大学経済学部を卒業後、日興証券勤務等を経て、91年、父の経営する久米繊維工業入社。94年より社長。オーダーメイドのTシャツをネットを通じて受注・販売するビジネスモデルで、日経インターネットアワード、IT経営百選を受賞。IT活用の先駆者として知られる。著書に『メール道』『ブログ道』(ともにNTT出版)。http://kume.keikai.topblog.jp/

2007年12月20日(木)更新

【社長のためのブログ道】vol.12 社長ブログの会社概要とプロフィール

けいかい12
久米信行氏の『社長のためのブログ道』は
「月刊 経営者会報」にて好評連載中です。
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をご参照ください。(編集部)

●社長ブログの会社概要とプロフィール

社長ブログに書く会社概要やプロフィールには、特別な配慮が必要です。
会社案内やカタログで使い慣れた文章をそのまま流用しても、
ネット広報効果が得られない場合があるのです。
 
もちろん、会社の実態や実績をお知らせして信頼を勝ち得るという目的は
ブログも会社案内も一緒です。

しかしブログでは配慮したい点が二つあります。
まず「検索エンジン対策」として「キーワード」を吟味して並べること。
さらに、仕事を離れた時の社長個人の趣味や人柄を伝える個人情報。
これらが、ご縁を広げ、深めるうえで欠かせません。
 
■お客様が使う検索キーワード

社長ブログを続ける第一の目的は、新規のお取引先を探すことでしょう。
これまでお取引のなかったお客様が検索エンジン経由で社長ブログに出会い、
会社のホームページ以上の濃密な情報と親密な情感に感銘して、商いのご縁が始まるはずです。

検索エンジンで見つけていただくには、検索キーワードが何よりも大切です。
お客様が検索するであろうキーワードが社長ブログの要所にちりばめられていなければ、
未来のお客様は社長ブログを見つけることができません。
現実には検索キーワードを吟味して
会社概要や記事を書いている社長ブログは、まだ少ないようです。
 
■検索キーワードを書き連ねる

まず、どの検索キーワードが重要なのか、そのランキングを知ることです。
この時、役立つのが「キーワードアドバイスツール」。>>>
http://inventory.jp.overture.com/d/searchinventory/suggestion/

これは、前月にどんなキーワードでの検索が多かったか調べるツールで、無料で使用できます。

ここで見つかった重要キーワード・ランキング上位の言葉を社長ブログに盛り込めば効果的です。
この時、検索エンジンが重視する次の順番に、重要キーワードを散りばめていきます。

 1 ブログの題名
 2 ブログの説明文
 3 会社概要
 4 プロフィール
 5 カテゴリー
 

経営者会報ブログの場合、その題名には、
すでに会社名、経営者名・主力商品・業態名が盛り込まれていますので、
まずはひと安心です。
とはいえ、ブログの説明文はもちろん、
会社概要、プロフィールにも、重要なキーワードを網羅しておく必要があります。
 
■プロ向け専門用語では不十分

こうした重要キーワード選びにはバランス感覚が大切になります。
その道のプロで、それもプロ相手の商売をしている人ほど、
業界でしか通用しない専門用語を多用しがちだからです。

もしも、引き続き同業のプロのお客様様だけを相手に商売するのでしたら、
専門用語が並ぶブログを作ってもかまいませんが、
異業種の法人や一般の個人といった新規のお客様も開拓したいのであれば、
アマが検索しそうな一般的なキーワードも選ばなくてはなりません。

いくら専門用語を並べたところで、それを知らないアマチュア客が
検索時に専門用語を使わなければ、社長ブログは蚊帳の外です。

未来のお客様を逃したくなければ、
プロ向けの専門用語の後にカッコ書きで
アマ向けの平易な一般用語を添えるといった工夫が必要でしょう。
 
■プロフィールに社長の趣味を

会社案内やホームページに、社長の個人的な趣味を書くことはないでしょう。
しかし、社長ブログでしたら思い切り書くことができます。

あまりに高級な趣味は嫌味に見えたり嫉妬を買うのでお勧めできませんが、
愛読書や好きな映画・音楽・料理などについて書くと、
共通の趣味を持つ縁者に出会う、よいきっかけとなります。
書名や曲名などを検索することで社長ブログに行き当たることも少なくないからです。
社員やお取引先などが、社長との共通の趣味に気づけば、
一気に親密にもなれそうです。

そうした趣味面の好みには、自ずと人柄や人生観がにじみ出ます。
社長ブログを通じて、そうした社長の内面的な魅力に触れてもらえますし、
会社の好イメージにもつながるはずです。
ほどよく「公私混同」して、
社長と会社の魅力を少しずつ同時に伝えたいものです。

次回は「ブログでできる事業承継準備」です。

ブログ道
■くめ のぶゆき氏 1963年生まれ。87年、慶應義塾大学経済学部を卒業後、日興証券勤務等を経て、91年、父の経営する久米繊維工業入社。94年より社長。オーダーメイドのTシャツをネットを通じて受注・販売するビジネスモデルで、日経インターネットアワード、IT経営百選を受賞。IT活用の先駆者として知られる。著書に『メール道』『ブログ道』(ともにNTT出版)。http://kume.keikai.topblog.jp/

2007年11月01日(木)更新

【社長のためのブログ道】vol.11 ブログは未来の人財と出会う最強ツール(3)

けいかい10
久米信行氏の『社長のためのブログ道』は
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●社長ブログは未来の“人財”と出会う最強ツール(3)

人財募集のためのブログ記事を書くのは決して難しくはありません。
私のブログを参考にしてみてください。

http://kume.keikai.topblog.jp/blog/109/10000166.html

このとき、まず心がけたのは
1回の記事に書かずに7回連載にしたということです。

一度にまとめようとすると、冗長になってしまうか、
単なる求人票になってしまうかのどちらかだからです。
 
そこで、次のように内容を分け、小出しにして興味を惹きました。
 
1 私たちの会社紹介
2 求める人財像
3 私たちが目指す未来
4 募集(ネット店長/ブログ編集長候補)
5 製品・応援プロジェクト紹介
6 未来の上司・仲間からの一言
7 採用までのステップ


そして、単に会社概要を淡々と書くのではなく、
経営方針書そのままに、経営理念や将来ビジョンを冒頭に謳いました。
 
すなわち、経営幹部や社員と同じメッセージを送ることにしたのです。
なお、あえて具体的な給与や処遇は書きませんでした。

まずは、条件よりも、社長のメッセージに共鳴してくれる人を
登用したかったからです。
 
以上、社長ブログで未来の人財を獲得する方法について述べました。
 
次回以降は、会社概要とプロフィールをいかに効果的に示すかについて
説明していきます。

ブログ道
■くめ のぶゆき氏 1963年生まれ。87年、慶應義塾大学経済学部を卒業後、日興証券勤務等を経て、91年、父の経営する久米繊維工業入社。94年より社長。オーダーメイドのTシャツをネットを通じて受注・販売するビジネスモデルで、日経インターネットアワード、IT経営百選を受賞。IT活用の先駆者として知られる。著書に『メール道』『ブログ道』(ともにNTT出版)。http://kume.keikai.topblog.jp/

2007年04月25日(水)更新

【社長のためのブログ道】vol.10 ブログは未来の人財と出会う最強ツール(2)

経会4
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●社長ブログは未来の“人財”と出会う最強ツール(2)
 
■中小企業最大の資産と魅力は社長自身の夢と志 

 未来の人財に対してどんなメッセージを贈るか。
 
 重要なことは、ブログを通じて、社長自身の夢や志を語り続けることでしょう。それは、いつも役社員の前やビジネスパートナーの前で、熱く語っていることで結構です。
 
 思い返せば、私が創業ベンチャーであるイマジニアに新卒第一期として入社したのも神蔵孝之社長の夢と志に心打たれたからでした。
 
 最近入社してくれた優秀な新入社員も、当社のモノづくりの姿勢のみならず、オーガニックコットン普及に代表される環境問題対応、NPO/NGO支援等の社会貢献活動に共鳴したと言います。
 
 大企業勤務時代、社長の言葉に直接接するのは年に数回でした。また、私も書いたことがありますが、スタッフが用意した原稿でスピーチする場合も少なくありません。
 
 そして、大企業の社長はインサイダー取引などのリスクを恐れてブログを堂々と書くこともないはずです。
 
■社長ブログに惚れて入社した人たちと心を一つにする

 だからこそ、長期視点で自己責任で夢や志を語れ、即断即決で企業を変革できるオーナー社長のメッセージは際立ちます。
 
「社長ブログを読んで志望し、入社した人とは心が通い合う」「即戦力になり離職率も低い」そんな話をされる社長ブロガーは少なくありません。

 中小企業で働く人財に求められる最大の素養は、おそらく「熱意」でしょう。社長の想いに響いて入社した方と募集広告だけを見て入社した方に、大きな温度差があるのは明らかなのです。

 次回は、私自身のブログを示して、人財獲得のために効果的なやり方を具体的にお話ししたいと思います。

ブログ道
■くめ のぶゆき氏 1963年生まれ。87年、慶應義塾大学経済学部を卒業後、日興証券勤務等を経て、91年、父の経営する久米繊維工業入社。94年より社長。オーダーメイドのTシャツをネットを通じて受注・販売するビジネスモデルで、日経インターネットアワード、IT経営百選を受賞。IT活用の先駆者として知られる。著書に『メール道』『ブログ道』(ともにNTT出版)。http://kume.keikai.topblog.jp/

2006年11月17日(金)更新

【社長のためのブログ道】vol.9 ブログは未来の人財と出会う最強ツール

けいかい
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●社長ブログは未来の“人財”と出会う最強ツール(1)
 
 景気の回復で、人材獲得競争が再燃しつつあります。
 
 少子高齢化も手伝い、今後、中小企業がよい“人財”(私は人は財産だと考えていますので“人財”と言っています)を獲得することは難しくなる一方でしょう。
 
 そんな人財難時代、今後ますます頼りになるのが社長ブログです。もちろん「リクナビ」などへの登録も有効ではあるでしょう。
 
 しかし、多くの大企業も登録している以上、苦戦を強いられるのは当然です。そこで、社長の夢や志を志望者に直接熱く伝えることができる、社長ブログが有効になるのです。
 
■中小企業ならではの働きがいに注目する

 もとより、大企業に就職したい人と、中小企業やベンチャー企業に就職したい人とは、仕事や働きがいに対する考え方が異なりましょう。安定より挑戦を、部分よりも全体を、社風に染まるよりも自己実現を望む人たちも少なくないはずです。
 
 私は、幸いにして、創業期のベンチャー、伝統的な大手金融機関での勤務経験を経て、祖父が起こし父が育てた老舗メーカーに戻りました。体験したどの企業形態も一長一短があり、中小企業にも大企業にはない働きがいがあると実感しました。
 
 給料・福利厚生・休日などでは、現状、大企業にかなわなくとも、やりがいや仕事の面白さで勝ることはできます。夢や志の大きさでも負けません。企業成長やブランド価値向上の瞬間を、まさに当事者として実体験できる醍醐味もあるでしょう。
 
 社長や幹部とも毎日顔を合わせ、その熱い想いに触れながら仕事ができる。お客様の生の声に触れつつ、経営全体を俯瞰しながら仕事をする。そんな臨場感も中小企業ならではです。
 
■社長が仕事を面白がればブログに人は集まる

 ですから、自社で働く面白さを、社長自らがもっと積極的に自信をもって発信する必要があるでしょう。
 
 わざわざ求人情報の形で情報発信をしなくともよいのです。社長が日々仕事を通じて味わった感動を、ブログにありのまま綴るだけでも大いに効果があるはずです。
 
 とくに、社長自身が感じる「わが天職の醍醐味」は働きがいを求める入社志望者が最も知りたい情報です。
 
 そして、社員のファインプレーやチームプレーを讃えながら、誰もが仕事を楽しみながら、全社一丸で経営目標を達成していることが社長ブログから伝わればよいのです。志望者もその輪の中に入って活躍したくなるでしょう。
 
 次回は、具体的に未来の人財に向けて、何を語るかについてお話します。

ブログ道
■くめ のぶゆき氏 1963年生まれ。87年、慶應義塾大学経済学部を卒業後、日興証券勤務等を経て、91年、父の経営する久米繊維工業入社。94年より社長。オーダーメイドのTシャツをネットを通じて受注・販売するビジネスモデルで、日経インターネットアワード、IT経営百選を受賞。IT活用の先駆者として知られる。著書に『メール道』『ブログ道』(ともにNTT出版)。http://kume.keikai.topblog.jp/
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