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2013年05月27日(月)更新

【新著連載】Q18.人と違った情報が得たい

15万部突破!『すぐやる!技術』の著者であり、当「経営者会報ブログ」のプロデューサーでもある久米信行さんの次回作ご執筆原稿をリアルタイムで公開させていただいております! ぜひコメント、トラックバックをお寄せください。

Q.人と違った情報が得たい

→A.パラボラ力×ズーム力を最大化する

 起業家と小勤め人の大きな違いは、新しく役に立つ情報をキャッチする「パラボラ力」と、それをビジネスや人生に活かせるまで観察し続ける「ズーム力」でしょう。社内情報や、マスメディアに頼っているだけでは、人と違った情報をキャッチすることはできません。インターネットは有効な手段ではあるものの、それだけでは、事業計画のヒントとなる、現場情報も達人の声も入ってこないのです。

1.師匠を探して勉強会に参加しよう。質問と発言をしよう

 私が最も「人と違った情報」に接することができたのは、社団法人ソフト化経済センターのソフト化賞選考委員会でした。ソフト化経済センターは、日本で最初に「ソフト」の価値を提唱した、わが師 日下公人先生が設立したシンクタンクです。ソフト化賞は、日本の進むべき未来を示す「先端的でソフトな試み」を表彰する賞でした。
 当時、ソフト化経済センターの客員研究員だった私も、幸運にも、その審査委員の一人に選ばれました。そこでは、自分のネットワークの中から、ソフト化賞にふさわしい候補を探し出して推薦するのです。シンクタンクの主任研究員、出版社の編集長、フリーのライター、ベンチャー起業家など、異業種の精鋭が探し出しくる企業や団体は、それぞれ個性的な候補ばかりでした。
 それだけでも、私にとっては大いに勉強になりました。委員のみなさんが、どんなルートで、どんな視点で探し出してくるか、審査委員会で知ることができたからです。
 しかし、日下公人先生は、いつでも「もっとあやしいものを選んでくるように」審査委員に助言するのです。つまり、今の時点で「新しい」「面白い」と感じる程度だと、すぐに古くなってしまう。今はまだ「あやしい」と思えるぐらいで、ちょうど良い。それこそ、10年後、20年後に花開く「新しいソフト」だというのです。
 そこで、もともと「パラボラ力」の高かった審査委員のみなさんは、日下先生のリクエストに応じて、もっと思い切り「あやしい」ものを探し出したのです。それから、10年ほどたって受賞作を振り返ると、たとえば、葉っぱビジネスの「いろどり」にしろ、東京電力の子会社「日本自然エネルギー」にしろ、当時こそあやしく見えたものの、今や、日本が進むべき道を示しているように思えるのです。

2.現場に行って現場の達人と会おう。お客様の気持ちで考えよう

 ソフト化賞の選考委員会で驚いたのは、みなさんが徹底した現場主義者だったことでした。既に、インターネットも普及していましたが、自分の目で確かめたものを中心に推薦していたのです。ジャンルこそ異なれ、全員に共通していたことは、自分の本業を極めながら興味の対象を広げ、面白いと思ったら実際に現場を訪ね、当事者に会っているということでした。どなたも、自分の目で見て、肌で感じたもの以外は、信用しないという信念を持っていたのです。これこそが真のプロ精神でしょう。徹底した現場主義を学んだことで、情報を凝視する「ズーム力」が身に付くのです。
 私は、地元墨田区をはじめ地域おこしのお手伝いをしていますが、まずは、お客様の気持ちで、先入観なしに現地を訪ねることから始めます。そして、ご当地で一番元気な人たちにあって、親しくお話をしながら質問を繰り返します。私にとって重要な情報を聞き出したいからです。それは「現地の人が楽しんでいるのに、多くの人が知らないこと」「私が魅力だと感じてるのに、現地の人が気付いていないこと」です。  
 つまり、起業家に必要な情報とは、現地で見つけた「ギャップ」なのです。

3.生涯役立つ自分だけの教科書=古典からマンガまでを探そう、読み返そう

 ベストセラーの流行書ばかり読んでいても独創的にはなれません。大切なのは、師匠が書いた本と、師匠が勧める教科書です。例えば、日下公人先生の本を十冊以上読んだ人と読んだことがない人では、世界の見え方が変わってくるはずです。そして、日下先生に教わった「ロジャースの普及理論」や「ポケモン」にふれたことで、「ソフト化賞は、なるべくあやしいものから選べ」という言葉の真意も判ってきました。古典から学んだ知恵をもって、徹底した現場主義に徹すれば、人と違う情報が見えてくるのです。

A.パラボラ力×ズーム力を最大化する

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