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2013年05月07日(火)更新
【新著連載】Q07.なんのために「リスク」を背負うのですか?
Q.なんのためにリスクを背負うのですか?
→「三方よし」の人生を謳歌するため
リスクを背負う理由は、挑戦に満ちた人生を通じて、自分の実力を磨き、大きな達成感を味わえるという「自分のため=自己実現」ばかりでありません。世のため会社のためにも役立つ「他者実現」あればこそ、リスクを背負う勇気がわいてくるのです。
●お金にならない新事業への挑戦
私が、「世のため」に、リスクのある新事業に挑んだのは、2007年のことでした。家業「久米繊維工業」の生き残りのために、私は、誰よりも早くインターネット活用を始めました。
そこで思わぬご縁をいただき、日本有数の公的助成団体「日本財団」が「公的ネットワークCANPAN」を創設するお手伝いをするお誘いを受けたのです。これは、全国のNPO法人が、自らインターネットのデータベースやブログで情報発信をして、多くの人たちから広く支援を集めようという斬新なプロジェクトでした。その社会的意義と将来性は、私にもすぐに理解できました。
しかし、まだ会社が経営危機を脱したわけでもなく、社長兼営業係として忙しく働いている状況です。聞けば、無給のボランティアですし、この仕事自体が、本業に役立つわけでもなさそうです。今でこそ、CANPANは日本最大の「公益ネットワーク」に成長しましたが、当時は、夢こそ広がれど成功の確証はありませんでした。しかも、「収入増=自分のため」にも、「仕事増=会社のため」にも、直接はつながらない、新しくて不確実な仕事です。
みなさんなら、このリスクばかりでリターンが期待できない仕事を受けるでしょうか。
私は悩んだあげく、この新事業に挑戦する道を選びました。お誘いくださった元日本財団の寺内昇さんはじめスタッフのみなさんの熱意と、日本をよくしようと奮闘努力する「草の根の社会起業家を応援しよう」という社会的な意義に共鳴したからです。
●報酬をもらわないからこそ「あるべき姿」を追求
しかし、この起業体験は、私にとってかけがえのないものでした。未熟な経営者の私に大きな学びと出会いをもたらしてくれ、まさに「私のため」になったのです。
報酬をもらっていないからこそ、まったく新しい仕組みだからこそ、しがらみなしで「あるべき姿」を追求できました。堂々と斬新なアイディアを進言できまたのです。また、CANPANブログ大賞などの私の企画案も実現してくださり、その審査委員長を務めるという貴重な体験もできました。
そこで、私が感銘を受けたのは、日本全国に生まれ育ちつつある社会起業家たちの熱い言葉と行動力でした。「理想の小児がん病院をつくろう」「日本で初めての手話の学校をつくろう」と夢をネットで掲げて、それを実現していくNPOのリーダーたち。それは、まさにリスクを恐れず前進する起業家そのものだったのです。私たちが支援するはずの社会起業家のみなさんに、逆に、「夢を持つ大切さ」や「ネットワークで夢を実現する方法」を教えていただきました。これから社会起業家が作る「新しい日本の未来像」も思い描くことができたのです。
さらに、「CANPANセンター」での活動が、思いがけず、久米繊維の本業や社会貢献活動ともリンクし始めました。「会社のため」にもつながることになったのです。
まず、社団法人 日本メディアアート協会と恊働したチャリティTシャツアート展が、毎年、日本財団を主会場にして行なわれることになりました。CANPANとつながりが深いNPOのためにクリエイターがデザインするのです。Tシャツの販売収益がNPOに寄付される毎年恒例のイベントに育ち、全国を巡回するまでになったのです。
それから、あの悲しむべき東日本大震災を契機にして、日本財団と共同で、3.11復興支援Tシャツプロジェクトがスタートしました。被災地で積極的に活動しているNPO法人のために、Tシャツを製造してネット販売する新事業です。CANPANブログと日本財団での仕事で育まれた関係を通じて、心あるNPO法人との出会いがあったからこそ実現した事業です。もし、目の前の商売だけに忙殺されていたら、チャリティTシャツアート展や、復興支援Tシャツも、形になることはなかったでしょう。
今実感しているのは、ただ「自分のため」「会社のため」にリスクをとるよりも「世のため」になる事業に挑戦するほうが世界が広がるということです。発想が変わって本来の自分の力が目覚めるだけではなく、多くの心ある人たちの力も結集することができます。「世のため自分のため」にリスクをとって、子孫に誇れる仕事を遺しましょう。
A.「三方よし」の人生を謳歌するため
【バックナンバー】
→「三方よし」の人生を謳歌するため
リスクを背負う理由は、挑戦に満ちた人生を通じて、自分の実力を磨き、大きな達成感を味わえるという「自分のため=自己実現」ばかりでありません。世のため会社のためにも役立つ「他者実現」あればこそ、リスクを背負う勇気がわいてくるのです。
●お金にならない新事業への挑戦
私が、「世のため」に、リスクのある新事業に挑んだのは、2007年のことでした。家業「久米繊維工業」の生き残りのために、私は、誰よりも早くインターネット活用を始めました。
そこで思わぬご縁をいただき、日本有数の公的助成団体「日本財団」が「公的ネットワークCANPAN」を創設するお手伝いをするお誘いを受けたのです。これは、全国のNPO法人が、自らインターネットのデータベースやブログで情報発信をして、多くの人たちから広く支援を集めようという斬新なプロジェクトでした。その社会的意義と将来性は、私にもすぐに理解できました。
しかし、まだ会社が経営危機を脱したわけでもなく、社長兼営業係として忙しく働いている状況です。聞けば、無給のボランティアですし、この仕事自体が、本業に役立つわけでもなさそうです。今でこそ、CANPANは日本最大の「公益ネットワーク」に成長しましたが、当時は、夢こそ広がれど成功の確証はありませんでした。しかも、「収入増=自分のため」にも、「仕事増=会社のため」にも、直接はつながらない、新しくて不確実な仕事です。
みなさんなら、このリスクばかりでリターンが期待できない仕事を受けるでしょうか。
私は悩んだあげく、この新事業に挑戦する道を選びました。お誘いくださった元日本財団の寺内昇さんはじめスタッフのみなさんの熱意と、日本をよくしようと奮闘努力する「草の根の社会起業家を応援しよう」という社会的な意義に共鳴したからです。
●報酬をもらわないからこそ「あるべき姿」を追求
しかし、この起業体験は、私にとってかけがえのないものでした。未熟な経営者の私に大きな学びと出会いをもたらしてくれ、まさに「私のため」になったのです。
報酬をもらっていないからこそ、まったく新しい仕組みだからこそ、しがらみなしで「あるべき姿」を追求できました。堂々と斬新なアイディアを進言できまたのです。また、CANPANブログ大賞などの私の企画案も実現してくださり、その審査委員長を務めるという貴重な体験もできました。
そこで、私が感銘を受けたのは、日本全国に生まれ育ちつつある社会起業家たちの熱い言葉と行動力でした。「理想の小児がん病院をつくろう」「日本で初めての手話の学校をつくろう」と夢をネットで掲げて、それを実現していくNPOのリーダーたち。それは、まさにリスクを恐れず前進する起業家そのものだったのです。私たちが支援するはずの社会起業家のみなさんに、逆に、「夢を持つ大切さ」や「ネットワークで夢を実現する方法」を教えていただきました。これから社会起業家が作る「新しい日本の未来像」も思い描くことができたのです。
さらに、「CANPANセンター」での活動が、思いがけず、久米繊維の本業や社会貢献活動ともリンクし始めました。「会社のため」にもつながることになったのです。
まず、社団法人 日本メディアアート協会と恊働したチャリティTシャツアート展が、毎年、日本財団を主会場にして行なわれることになりました。CANPANとつながりが深いNPOのためにクリエイターがデザインするのです。Tシャツの販売収益がNPOに寄付される毎年恒例のイベントに育ち、全国を巡回するまでになったのです。
それから、あの悲しむべき東日本大震災を契機にして、日本財団と共同で、3.11復興支援Tシャツプロジェクトがスタートしました。被災地で積極的に活動しているNPO法人のために、Tシャツを製造してネット販売する新事業です。CANPANブログと日本財団での仕事で育まれた関係を通じて、心あるNPO法人との出会いがあったからこそ実現した事業です。もし、目の前の商売だけに忙殺されていたら、チャリティTシャツアート展や、復興支援Tシャツも、形になることはなかったでしょう。
今実感しているのは、ただ「自分のため」「会社のため」にリスクをとるよりも「世のため」になる事業に挑戦するほうが世界が広がるということです。発想が変わって本来の自分の力が目覚めるだけではなく、多くの心ある人たちの力も結集することができます。「世のため自分のため」にリスクをとって、子孫に誇れる仕事を遺しましょう。
A.「三方よし」の人生を謳歌するため
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