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【新著連載】Q13.「とるべきリスク」とはどんなものですか?

投稿日時:2013/05/20(月) 11:16rss

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Q.「とるべきリスク」とはどんなものでしょうか?

→A.「チャンス=先行者利得」が得られる「前向きなリスク」に挑戦しよう

 いつでもリスクとチャンスは隣り合わせです。ですから「とるべきリスク」とは、チャンス=先行者利得をつかむための「前向きなリスク」です。そのリスクをすばやく果敢にとることで、自分のスキルも磨かれ、ありがたいご縁も拡げられるはずです。
 時代の変化は、大きなうねりとなって押し寄せます。チャンスに満ちた時代は、変化が激しくてリスキーな時代でもあります。そのぶんだけ「前向きなリスク」の向こうに、「改革」と「事業創造」の種が隠されているのです。

●「現状維持=リスク」という健全な危機意識を

 例えば、私がインターネット社会到来の大波を予感したのは、1995年のことでした。まだ一部のマニアがパソコン通信を楽しんでいた時代ですから、ネット通販のお客様は限られています。検索エンジンも無いので、お目当ての商品を探すことさえできません。遅い電話回線しかないので、写真が画面表示されるのにも時間がかかりました。
 しかし、そんな時代から、インターネットを使っていたからこそ、日経インターネットアワードや、IT経営百選をいただいて、マスメディアの取材を多数受けることができました。思いがけず、講演、連載、出版の仕事も舞い込んで、ネットの世界のみならず、新聞、雑誌、テレビ、講演など、多くの機会で、お金をかけずにPRをさせていただき、新しいお客様と商品・サービスを開拓することができたのです。
 「前向きのリスク」をとらないと、時代に取り残される「後ろ向きのリスク」に見舞われます。もし私たちがインターネットを使わず、旧来のお客様だけと取引をしていたらと考えると怖くなります。なぜなら、多くのお客様が、グローバル経営×流通革命×インターネット革命の大波にさらわれて、廃業や倒産に追い込まれたからです。
 だからこそ、「現状維持=リスク」という健全な危機意識を常に持ち続けましょう。健全な危機意識こそが「リスク感知力」と「リスク突破力」を呼び起こすのです。
 多くの人たちは気づいていませんが、実社会は、ファンタジー映画によく見られる「吊り橋を渡る主人公の後ろで、次々に橋が崩れていくシーン」のようなものです。一見すると恐ろしい光景に見えますが、リスクのある場に身を置くと、不思議と本能が目覚めます。危険を事前に察知しながら、前へ前へと自然に走れるようになるものです。健全な危機意識を持っている人=リスク突破の本能が発動している人なのです。

●「ちょっと上の能力」を必要とすることに挑戦する

 そして、「前向きなリスク」を取る時のコツは、「適度」なリスクをとることです。自分が考えるよりも「ちょっと上の能力」を必要とする挑戦から始めましょう。なぜ「ちょっと上」かというと、私も含めて、多くの人は、自分の「潜在能力を低く見積もる」=「リスクを過大評価」する傾向があるからです。本来の潜在能力を呼び覚まして磨き上げるためにも、考えるより「ちょっと上」のリスクをとることが大切です。
 具体的に「とるべきリスク」それも「適度なリスク」を見きわめる最良の方法は、「リスクをとる達人=人生のよき先輩」たちと付き合うことです。達人たちの考え方や動き方を「真似る」「一緒に働く」ことや、恥ずかしがらずに「質問する」「相談する」ことが、「リスク感知力×リスク耐性×リスク突破力」を身につける早道なのです。

●「はやく始める」ことで成功確率が変わる

 ただし、リスクをとる達人は、自分の身の回りにいるとは限りません。ネットで調べて、積極的に異業種の達人が集まる勉強会や、NPO活動に参加してみましょう。これまでの自分と全く異なる「広くて深い情報源」を持つ達人や、波瀾万丈の現場体験で得た「知恵のかたまり」のような達人に出逢えるはずです。
 例えば、私は、インターネット前夜より、経営情報学会というITの専門家や大学教授が集まる学会に思い切って参加しました。入ってみたら、まったく場違いな場所で、知識も経験も足りない中小企業の後継者は戸惑うばかり。しかし、慶應大学・國領二郎先生、早稲田大学・平野 雅章先生、IBM・岡本明雄先生(故人)はじめ、多くの未来を見据えた達人たちと親しく接して、直接教えを受けることができました。 
 達人たちは、独自の情報網を持ち、現場に自ら足を運んだ実感と、統計の情報を同じように大切にして、自分で見て考えてすばやく行動していました。歴史上の成功や失敗の原則に学んで、「はやく始める」ことで成功確率が変わることを知っていたのです。

A.「チャンス=先行者利得」が得られる「前向きなリスク」に挑戦しよう

【バックナンバー】
Q08.若くて経験もなくて不安です
Q09.失敗するのが怖い
Q10.部下がいないうちは大きなことに挑戦できない?
Q11.自分の力不足をさらけ出すのが怖い
Q12.人から笑われるのが怖いんです

ボードメンバープロフィール

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くめ のぶゆき氏

久米信行(くめ・のぶゆき)

1963年東京下町生まれのTシャツメーカー三代目。

慶應義塾大学経済学部卒業後、87年、イマジニア株式会社に入社。ファミコンゲームソフトのゲームデザイナー兼飛び込み営業を担当する。
88年に日興證券株式会社に転職し、資金運用・相続診断システムの企画開発、ファイナンシャル・プランナー研修で活躍。
94年に家業である久米繊維工業株式会社の代表取締役に就任。

日本でこそ創りえるTシャツを目指し、グリーン電力とオーガニックコットンを生かす環境品質と、
クリエイターとJapanCoolを共創する文化品質を追求。
個人的なTシャツコレクションも数千枚に及び、全国のTシャツアート展・ワークショップ・エコイベントを支援する。

明治大学商学部「ベンチャービジネス論/起業プランニング論」講師。NPO法人CANPANセンター理事。東京商工会議所墨田支部IT分科会長。社団法人墨田区観光協会理事。

著書に、10万部を突破した『考えすぎて動けない人のための「すぐやる!」技術』(日本実業出版社)、
Amazonでビジネス3部門第1位を獲得した『メール道』と『ブログ道』(ともにNTT出版)がある。
連載は、「経営者会報」「日経パソコン」「日経ネットマーケティング」「日経トップリーダー」ほか多数。

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