久米信行の『言いわけばかりで動けない君に贈る33のエール』 | 経営者会報 (社長ブログ)
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【新著連載】Q05.「リスク」をとって得られる最大の学びは?
15万部突破!『すぐやる!技術』の著者であり、当「経営者会報ブログ」のプロデューサーでもある久米信行さんの次回作ご執筆原稿をリアルタイムで公開させていただいております!
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Q.「リスク」をとって得られる最大の学びは?→A.チャンスを見抜く知恵、事業を起こす実力
本当の学びは、自らリスクをとって「成功の喜び」も「失敗の痛み」を体感することで得られます。学生時代の試験勉強のように、誰かにやらされた受身の勉強、答えが決まっていて、すぐに点数が判るような机上の勉強は「真の学び」ではありません。もう一度、成功してあの喜びを味わいたい、もう二度とあの失敗の痛みは味わいたくないと心から思うからこそ、自ずと勉強したくなるのです。
そして、挑戦を繰り返すうちに、答えは「教科書」ではなく「現場」にあること、「リスク」と思っていたことが、実は「チャンス」だということを、「頭」ではなく「体」で理解することでしょう。
●リスクをチャンスに変える知恵は挑戦が教えてくれる
私の社会人デビューは、ファミコンソフトの飛び込み営業でした。自社ソフトの発売日に、ある量販店に行ったら行列ができています。苦労して売り込んだソフトですから感無量です。それだけ確認して帰ることもできたのですが、どうも様子が変です。行列した子供が全員買うのではなく、グループの一人だけが買って、どこかへ去ってしまうのです。不思議に思って子供たちにどこへ行くのか質問すると「コピーしに行く」と一言。つまり、当時ディスクで提供されていたソフトを、子供たちは安価に違法コピーできることを知っていたわけです。私はショックを受けて、会社に帰ってすぐ報告。その後、自分で調べて「ディスクコピーの現状」をレポートを作成しました。社長に「ディスクで作ったソフトに未来はない」と進言して、受理されたのです。
もしも私が量販店に電話して、売れた本数だけ確認していたら、もっと被害は広がっていたかもしれません。子供たちの異変に気づかなければ(リスク感知力)、次回作もディスクで作っていたかもしれないのです。そして、ただ落ち込むのではなく(リスク耐性)、自分で現状を調査して、思い切って社長に進言しました(リスク突破力)。
この貴重な体験から、お客様との対話を自ら行なわず、データだけを見て判断する「リスク」を「体」で理解しました。現場に行って、自分の目で見て、自分の頭で考え、自分で動くことでしか、真のリスクを知ることも乗り越えることもできないのです。
それから、リスクとチャンスが裏表の関係にあること、リスクをチャンスに変える知恵があることも、実際に挑戦をしなければ体得できません。
●10人中9人が否定したファミコンソフトが大ヒット
日本初の「株式投資シミュレーション」のファミコンソフトを企画販売した時の学びも、私にとって大きな財産です。日本で初めてということは「売れるかどうかもわからない」ということです。問屋も小売店もリスクをおかして積極的に買えないということを意味します。さらに、価格を通常のゲームの2倍に設定するという冒険をしました。10人に話したら、9人が「売れっこない」という状況でスタートしたのです。
しかし、私は飛び込み営業の現場体験から、流通業=プロの評価よりも、お客様=アマチュアの評判や、マスコミ発のクチコミが大切だということを理解していました。日本で初めてだからこそ、うまくPRすれば、評判とクチコミを生み出すことができます。当時はバブル景気の始まりで株式投資ブームが起こりつつありました。しかも、ゲームの監修は、すでにベストセラー作家だった株式評論家の松本享先生です。
幸運にも、人財不足のベンチャー企業だったので、私は、このゲームの企画、営業、宣伝広報のすべてに関わることができました。新聞から深夜番組まで取材対応や出演をこなし、大手書店や玩具店の店頭でデモまでしました。マスコミやデモの評価は賛否両論で、半分は「子供に株を教えるなどけしからん」という論調でした。おそらく大企業だったら、批判的な評価を気にしてPRを控えるか、怒るかすることでしょう。でも、私たちは、某新聞社の社長から「良い評判も悪い評判も評判のうち=営業に役立つ」と教わっていたので、批判されることもリスクではなくチャンスだと感じていました。そして….結果は、売り切れ続出のヒット作になったのです。
つまり、日本初の斬新な商品を作ることに挑戦し(リスクと裏返しのチャンス感知力)、人から売れないと笑われたり、マスコミの半分から批判されることに耐え(チャンスを信じるリスク耐性)、時代のトレンドを読んで、良いパートナーの力を借りる(チャンスを活かすリスク突破力)知恵を、このプロジェクトで学んだのです。
A.チャンスを見抜く知恵、事業を起こす実力
【バックナンバー】
Q04.「リスク」と「リターン」を見極めるコツは?
ボードメンバープロフィール
くめ のぶゆき氏
久米信行(くめ・のぶゆき)
1963年東京下町生まれのTシャツメーカー三代目。
慶應義塾大学経済学部卒業後、87年、イマジニア株式会社に入社。ファミコンゲームソフトのゲームデザイナー兼飛び込み営業を担当する。
88年に日興證券株式会社に転職し、資金運用・相続診断システムの企画開発、ファイナンシャル・プランナー研修で活躍。
94年に家業である久米繊維工業株式会社の代表取締役に就任。
日本でこそ創りえるTシャツを目指し、グリーン電力とオーガニックコットンを生かす環境品質と、
クリエイターとJapanCoolを共創する文化品質を追求。
個人的なTシャツコレクションも数千枚に及び、全国のTシャツアート展・ワークショップ・エコイベントを支援する。
明治大学商学部「ベンチャービジネス論/起業プランニング論」講師。NPO法人CANPANセンター理事。東京商工会議所墨田支部IT分科会長。社団法人墨田区観光協会理事。
著書に、10万部を突破した『考えすぎて動けない人のための「すぐやる!」技術』(日本実業出版社)、
Amazonでビジネス3部門第1位を獲得した『メール道』と『ブログ道』(ともにNTT出版)がある。
連載は、「経営者会報」「日経パソコン」「日経ネットマーケティング」「日経トップリーダー」ほか多数。
Twitter ID @nobukume
facebook+YouTube nobukume
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