久米信行の『言いわけばかりで動けない君に贈る33のエール』 | 経営者会報 (社長ブログ)
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【新著連載】Q28.シナリオを描くには?
15万部突破!『すぐやる!技術』の著者であり、当「経営者会報ブログ」のプロデューサーでもある久米信行さんの次回作ご執筆原稿をリアルタイムで公開させていただいております! ぜひコメント、トラックバックをお寄せください。
Q.シナリオを描くには?
→A.最高と最低を意識してシナリオを描き、前進と撤退を見極めながら進め!
リスクをとって大胆な一歩を踏み出すためには、心がけておくべきこと、事前に準備しておくことがあります。
まずは事業の見通し=シナリオが大切です。多くの場合、上司などから批判されないように、鉛筆なめなめ「可もなく不可もない」計画を立てがちです。強気に書けば目標に届かない時に起こられそうですし、弱気のシナリオは考えたくないからです。しかし、新しいことに挑戦するに必要なのは、最も楽観的なシナリオと、最も悲観的なシナリオを同時に考えておく「リスク予見」の感性です。最悪の結果になっても致命傷にならないように考えておくのです。どんなに読みが下振れしても慌てることがないように備えておくのです。
●バブル期の存亡を賭けて
例えば、この20年で企業が見舞われた中で「最もインパクトが大きい想定外のリスク」は「メガバンクをふくむ銀行の倒産と合併>貸し渋りと貸しはがし」でしょう。
証券会社で、想定外のバブル崩壊に見舞われたことで、私の金融機関に対する危機感や不信感は、普通のビジネスパーソンの何倍も磨かれました。吹けば飛ぶような中小企業が銀行の心配をするのは本末転倒に見えますが、実は死活問題だったのです。
家業の久米繊維工業も、バブル期に過大な不動産投資に走って、11行もの銀行取引がありました。その中には、バランスシートや取引先を見ると経営が危なくなると予想される銀行があり、いち早く取引をやめる必要がありました。預金が失われ、融資が止まってしまうからです。
そこで、都市銀行を有力三銀行に絞ったのですが、今度は、その三行が合併するという話まで噂されました。一行とだけと取引をすれば、その銀行の言いなりになるしかありません。だから、政府系の金融機関や、地元の信用金庫とバランスをとりながら、常に何が起きても良い体制に変えて行きました。銀行につぶされた企業もたくさん見てきましたが、何とか先回りをして生き延びられました。
●「前進する勇気」と「撤退する勇気」を兼ね備える
喜ばしい楽観的な展開にも、実は大きなリスクが潜んでいます。
例えば予想を上回る受注などがあった場合には、お客様にご迷惑をおかけして機会損失をするばかりか、ライバルの参入を招くリスクまであるからです。また、発注・生産・在庫に先にお金がかかって、回収が遅れるため「黒字倒産」になるかもしれません。ですから、最も楽観的なシナリオと悲観的なシナリオと対応策を、常に考えておくことが大切です。
その上で、「前進する勇気」と同じぐらい重要なのが「撤退する勇気」です。山登りでもヨットでも、実力のある達人ほど、天候などを見て「撤退する勇気」を兼ね備えています。同じように、起業の達人たちの頭には「いつまでに○○ができなかったら撤退」「損失が□□円になったら撤退」「環境が△△になったら撤退」と自分で決めたルールがあるのです。だからこそ、そこまでは勇気を持って前進できるわけです。
また、たとえ自分がリーダーであっても、関係者や師匠に報告・連絡・相談すること=ホウレンソウが大切です。起業家にとって、ホウレンソウは、気が重いものです。多くの場合、マイナスからのスタートなので、胸をはって報告できるのは何年か先だからです。しかし、成果が出ていない、悩み多き時こそ、ホウレンソウが大切です。相談時の貴重な助言や叱咤を、素直に受け止められるかどうかが成功の鍵なのです。
●ゴールに至る道筋や技法は柔軟かつ大胆に修正
予想通りに行かない場合や、貴重なアドバイスをもらった時など、今までの方針や進め方を、ガラッと変えなければいけないことがあります。私も勤め人だった頃は、「何だよ、また方針が変わったよ」「リーダーはすぐ気が変わるからな」と愚痴をこぼしましたが、いざ自分が起業家になると、そんな悠長なことを言ってはいられません。時々刻々環境が変化する中、誰もやっていないことを、教科書もなく進めていくわけですから、予定通りにいくはずがないからです。経営理念がぶれるのは厳禁ですが、ゴールに至る道筋や技法については、常に微調整や大胆な革新が必要なのです。
こうして起業家は、リスクをとった分だけストレスに満ちた毎日を送ります。だからこそ休日の過ごし方にも気を配りましょう。頭を空っぽにして、趣味やスポーツに没頭しましょう。ストレス解消の時間こそ、新たなアイディアを生む源泉なのです。
A.最高と最低を意識してシナリオを描き、前進と撤退を見極めながら進め!
Q.シナリオを描くには?
→A.最高と最低を意識してシナリオを描き、前進と撤退を見極めながら進め!
リスクをとって大胆な一歩を踏み出すためには、心がけておくべきこと、事前に準備しておくことがあります。
まずは事業の見通し=シナリオが大切です。多くの場合、上司などから批判されないように、鉛筆なめなめ「可もなく不可もない」計画を立てがちです。強気に書けば目標に届かない時に起こられそうですし、弱気のシナリオは考えたくないからです。しかし、新しいことに挑戦するに必要なのは、最も楽観的なシナリオと、最も悲観的なシナリオを同時に考えておく「リスク予見」の感性です。最悪の結果になっても致命傷にならないように考えておくのです。どんなに読みが下振れしても慌てることがないように備えておくのです。
●バブル期の存亡を賭けて
例えば、この20年で企業が見舞われた中で「最もインパクトが大きい想定外のリスク」は「メガバンクをふくむ銀行の倒産と合併>貸し渋りと貸しはがし」でしょう。
証券会社で、想定外のバブル崩壊に見舞われたことで、私の金融機関に対する危機感や不信感は、普通のビジネスパーソンの何倍も磨かれました。吹けば飛ぶような中小企業が銀行の心配をするのは本末転倒に見えますが、実は死活問題だったのです。
家業の久米繊維工業も、バブル期に過大な不動産投資に走って、11行もの銀行取引がありました。その中には、バランスシートや取引先を見ると経営が危なくなると予想される銀行があり、いち早く取引をやめる必要がありました。預金が失われ、融資が止まってしまうからです。
そこで、都市銀行を有力三銀行に絞ったのですが、今度は、その三行が合併するという話まで噂されました。一行とだけと取引をすれば、その銀行の言いなりになるしかありません。だから、政府系の金融機関や、地元の信用金庫とバランスをとりながら、常に何が起きても良い体制に変えて行きました。銀行につぶされた企業もたくさん見てきましたが、何とか先回りをして生き延びられました。
●「前進する勇気」と「撤退する勇気」を兼ね備える
喜ばしい楽観的な展開にも、実は大きなリスクが潜んでいます。
例えば予想を上回る受注などがあった場合には、お客様にご迷惑をおかけして機会損失をするばかりか、ライバルの参入を招くリスクまであるからです。また、発注・生産・在庫に先にお金がかかって、回収が遅れるため「黒字倒産」になるかもしれません。ですから、最も楽観的なシナリオと悲観的なシナリオと対応策を、常に考えておくことが大切です。
その上で、「前進する勇気」と同じぐらい重要なのが「撤退する勇気」です。山登りでもヨットでも、実力のある達人ほど、天候などを見て「撤退する勇気」を兼ね備えています。同じように、起業の達人たちの頭には「いつまでに○○ができなかったら撤退」「損失が□□円になったら撤退」「環境が△△になったら撤退」と自分で決めたルールがあるのです。だからこそ、そこまでは勇気を持って前進できるわけです。
また、たとえ自分がリーダーであっても、関係者や師匠に報告・連絡・相談すること=ホウレンソウが大切です。起業家にとって、ホウレンソウは、気が重いものです。多くの場合、マイナスからのスタートなので、胸をはって報告できるのは何年か先だからです。しかし、成果が出ていない、悩み多き時こそ、ホウレンソウが大切です。相談時の貴重な助言や叱咤を、素直に受け止められるかどうかが成功の鍵なのです。
●ゴールに至る道筋や技法は柔軟かつ大胆に修正
予想通りに行かない場合や、貴重なアドバイスをもらった時など、今までの方針や進め方を、ガラッと変えなければいけないことがあります。私も勤め人だった頃は、「何だよ、また方針が変わったよ」「リーダーはすぐ気が変わるからな」と愚痴をこぼしましたが、いざ自分が起業家になると、そんな悠長なことを言ってはいられません。時々刻々環境が変化する中、誰もやっていないことを、教科書もなく進めていくわけですから、予定通りにいくはずがないからです。経営理念がぶれるのは厳禁ですが、ゴールに至る道筋や技法については、常に微調整や大胆な革新が必要なのです。
こうして起業家は、リスクをとった分だけストレスに満ちた毎日を送ります。だからこそ休日の過ごし方にも気を配りましょう。頭を空っぽにして、趣味やスポーツに没頭しましょう。ストレス解消の時間こそ、新たなアイディアを生む源泉なのです。
A.最高と最低を意識してシナリオを描き、前進と撤退を見極めながら進め!
ボードメンバープロフィール
くめ のぶゆき氏
久米信行(くめ・のぶゆき)
1963年東京下町生まれのTシャツメーカー三代目。
慶應義塾大学経済学部卒業後、87年、イマジニア株式会社に入社。ファミコンゲームソフトのゲームデザイナー兼飛び込み営業を担当する。
88年に日興證券株式会社に転職し、資金運用・相続診断システムの企画開発、ファイナンシャル・プランナー研修で活躍。
94年に家業である久米繊維工業株式会社の代表取締役に就任。
日本でこそ創りえるTシャツを目指し、グリーン電力とオーガニックコットンを生かす環境品質と、
クリエイターとJapanCoolを共創する文化品質を追求。
個人的なTシャツコレクションも数千枚に及び、全国のTシャツアート展・ワークショップ・エコイベントを支援する。
明治大学商学部「ベンチャービジネス論/起業プランニング論」講師。NPO法人CANPANセンター理事。東京商工会議所墨田支部IT分科会長。社団法人墨田区観光協会理事。
著書に、10万部を突破した『考えすぎて動けない人のための「すぐやる!」技術』(日本実業出版社)、
Amazonでビジネス3部門第1位を獲得した『メール道』と『ブログ道』(ともにNTT出版)がある。
連載は、「経営者会報」「日経パソコン」「日経ネットマーケティング」「日経トップリーダー」ほか多数。
Twitter ID @nobukume
facebook+YouTube nobukume
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