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【新著連載】Q08.若くて経験も知識もなく不安です

投稿日時:2013/05/09(木) 09:19rss

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Q.若くて経験もなく不安です 

→若ければ若いほど、知識も経験も乏しいほどチャンス!

 多くの人は、「若いうちは知識も経験もないから失敗する。だから、もっと実力をつけてからリスクを取ろう」と、ついつい挑戦を先延ばしにしがちです。しかし、「リスク回避力」や「リスク突破力」を身につけるのに一番よく効くトレーニングは、実際に「リスクを取って『失敗』する」ことなのです。一度、身をもって痛い目に合えば、次は、直感的に「リスク」を感じ取り、本能的に「リスク」を回避し、知恵を使って「リスク」を乗り越えようとするからです。
 リスクをとって挑戦するなら、若ければ若いほど、知識も経験も乏しい時ほど、良いのです。意外に思われましょうが、若い時の挑戦のほうが、たとえ失敗しても失うものが少ないからです。救いの手も差し伸べられ、むしろ得るものが大きいのです。

●サラリーマンがとるリスクはほとんどない!?

 私は、入社1年目、それも会社が存亡の危機にある時に、ファミコンの株式ゲームソフトの企画・販売というリスキーな新規事業に関わりました。しかし、今考えれば、私がとるリスクは、ほとんどありませんでした
 会社の厳しい資金繰りを日々目にしているわけでもなく、株主でもないので「自分のお金」という意識もありません。お気楽なサラリーマン感覚で仕事をしていました。ゲームの開発といっても、優秀な常務をリーダーにしたアシスタントです。ただ、常務が考えた「幹」に、面白いアイディアを「枝葉」のように付け加えればよかったのです。営業や広報が難しいといっても、もともとブランド力が乏しい会社の「飛び込み営業」で社会人デビューしましたから、無関心や誹謗中傷にも慣れています。むしろ、新しい挑戦を、「会社や自分を育てるゲーム」のように楽しんでいた気がします。
 しかし、株主であり連帯保証人でもある社長は、きっと気が気でなかったでしょう。おそらく夜も眠れなかったはずです。経営者の立場ですから、私のように現場を楽しむわけではなく、実作業の大半はマネージャーやスタッフに任せなければなりません。細かいことに口を挟み過ぎると、社員のモラルが下がって、魅力の無い「無責任なものづくり」につながるかもしれないからです。
 その時の社長のプレッシャーや、辛さ・もどかしさは、莫大な負債を抱えた「構造不況業種のオーナー経営者」になって、はじめて実感しました。まさに「10年後は我が身」だったのですが、その時は気づきませんでした。

●「つらさがわからない」「他人のふんどし」だからこそ、思い切れる

 逆に、経営者のつらさがわからないからこそ、他人のふんどしで相撲ととっている若造だからこそ、思い切ったゲームを作り、斬新な営業や広報もできたと思います。もともと給料が安い新入社員ですから、減給も降格も怖くありません。会社の台所事情にも、業界のしがらみにも無頓着な新人ですから、怖いものなしだったのです。責任あるリーダーになる前に、失敗を重ねながらリスクをとる練習ができました。リスクを楽しみながら、予想を超える実績を味わう経験ができて、本当に良かったのです。
 ゲーム会社から証券会社に転職すると、あろうことか、まだ20代半ばなのに、相続診断システム開発の、実質上リーダーを任されることになりました。上司もずいぶん思い切ったことをしたものです。まさに「有り難いチャンス」をいただきました。  
 でも、ゲームデザイナー時代の自分は「気楽なアシスタント」に過ぎなかったことをすぐに痛感しました。リーダーになると、自分の頭で考え、自分で判断し、自分で行動しなければなりません。ところが、私は、システムの知識も相続税対策の知識も、基礎知識レベルしかなかったのです。もちろん税務相談の知識もありません。

●知識や経験のないからこそ、年上のプロの教えを受けられる

 しかし、いざやってみれば「案ずるより産むが易し」でした。知識が足りなくとも、専門書を10冊も読めば、システム開発や税務監修のパートナーと話ができるぐらいにはなれるものです。知識や経験より大切なのは「これまでに無い新しい良いものを作りたい」「その情熱だけは負けない」ことを、言葉と態度で示すことでした。心意気に共感してくだされば、はるかに年上のプロの方々が、貴重な経験談やノウハウも提供してくださるのです。もし、私が同世代の専門家だったら、馬鹿にされるか、ライバル視されるかして、教えを受けることは難しかったでしょう。また、意識していたわけではありませんが、「常識の無いシロウトゆえの斬新なアイディア」も、いくつか提案できました。プロの達人ほど「非常識」な提案を面白がってくださったのです。
 ですから、若くて知識が乏しいからと、ためらう必要はありません。若い時は思い切って飛び込んでも「崖」は想像より低いものです。崖が低いうちに勇気と知恵を磨きましょう。年を重ねて知識を積んでからリスクをとろうとしても、飛び込む「崖」は高くなっています。高い崖から飛べるのは、若い頃から飛び込んできた人だけです。

A.若ければ若いほど、知識も経験も乏しいほどチャンス!

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ボードメンバープロフィール

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くめ のぶゆき氏

久米信行(くめ・のぶゆき)

1963年東京下町生まれのTシャツメーカー三代目。

慶應義塾大学経済学部卒業後、87年、イマジニア株式会社に入社。ファミコンゲームソフトのゲームデザイナー兼飛び込み営業を担当する。
88年に日興證券株式会社に転職し、資金運用・相続診断システムの企画開発、ファイナンシャル・プランナー研修で活躍。
94年に家業である久米繊維工業株式会社の代表取締役に就任。

日本でこそ創りえるTシャツを目指し、グリーン電力とオーガニックコットンを生かす環境品質と、
クリエイターとJapanCoolを共創する文化品質を追求。
個人的なTシャツコレクションも数千枚に及び、全国のTシャツアート展・ワークショップ・エコイベントを支援する。

明治大学商学部「ベンチャービジネス論/起業プランニング論」講師。NPO法人CANPANセンター理事。東京商工会議所墨田支部IT分科会長。社団法人墨田区観光協会理事。

著書に、10万部を突破した『考えすぎて動けない人のための「すぐやる!」技術』(日本実業出版社)、
Amazonでビジネス3部門第1位を獲得した『メール道』と『ブログ道』(ともにNTT出版)がある。
連載は、「経営者会報」「日経パソコン」「日経ネットマーケティング」「日経トップリーダー」ほか多数。

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