久米信行の『言いわけばかりで動けない君に贈る33のエール』 | 経営者会報 (社長ブログ)
皆様がブログを書かれる際の心構えを中心にアドバイスします
- トップページ
- 【社長のためのブログ道】vol.13 事業承継にブログを活かす
【社長のためのブログ道】vol.13 事業承継にブログを活かす
久米信行氏の『社長のためのブログ道』は
「月刊 経営者会報」にて好評連載中です。
詳細とご購読のお申し込みは、
http://www.njh.co.jp/njs/keikai.htm
をご参照ください。(編集部)
●事業承継にブログを活かす
中小企業にとって、事業承継問題は
最も重要な経営課題の一つでしょう。
自社株や相続税の問題ばかりではありません。
後継者が、社員、取引先、金融機関、株主などのステークホルダーから
先代にもまして信用を得られるかどうかも大きな問題です。
その意味で、新しい事業承継策の一環として提案したいのが、
社長と同時に、後継者がブログを始めることです。
■ブログで後継者の姿が見える
中小企業では往々にして経営者の発言ばかりが目立ちがちですが、
後継者候補がブログを始めれば、社員、取引先、金融機関も、
次期社長がどんな夢と理念をもっているのか、
日々目にすることができます。
計画実行力や持続力を兼ね備えているかどうかも
ブログから伝わるでしょう。
さらに、先代から何を引き継ぎ、何を改革しようとしているかも伝わり、
企業の十年後の姿も自ずとイメージされていくことでしょう。
こうして後継者の能力・人格や経営理念・ビジョンに、
社内外の関係者が共感できるようになれば、
自ずと信用が集まり、ファンも増えていくはずです。
■後継者候補全員でブログ競争
もしも経営者候補が何人かいらっしゃるようでしたら、
社長と一緒に候補者全員でブログを始めることを提案してはいかがでしょう。
社長の目から各自のブログを読めば、
・誰が経営理念や方針を血肉にしているか
・新しい発想をもっているか
・社内外に良縁を広げているか
などを、じっくり感得できるはずです。
さらに、後継者候補のブログを、
主要な役社員、取引先、金融機関などにも読んでもらい、
定期的に意見を聴くのもよいでしょう。
それぞれの立場の方々が「後継者として誰がふさわしいと見ているか」がわかり、
決断の参考にできると思います。
もちろん、後継者候補同士で、それぞれブログを読みあって、
褒めあうコメントをするのもお勧めです。
各部門の利害代弁者としてコミュニケーションが疎かになりがちな、
リーダー間の相互理解を深めていくことにもなります。
ところで、かつて
GEのジャック・ウエルチ氏がCEOに大抜擢されたのは、
トップが全役員に発した「自分以外なら誰がCEO適任者か」
という問いへの答えが鍵になったそうです。
「自分以外で」と「個別」に尋ねるところが
利害関係を排除するポイントのようです。
中小企業でも、同様の問いを役員のみならず社員にまで広げて、
個別に投げかけるとよいかもしれません。
この際、ブログで候補者のことが知られていることが重要になるでしょう。
創業者やオーナーが先代だった場合、
代替わりで求心力が落ちてしまいがちですが、
他部門からも信任が厚い人を選べば、
そうしたマイナス面に関しても、
最小限にすることが期待できるのではないかと思います。
■後継者が決まっている場合は
同族経営の中小企業では、
暗黙の了解で次期後継者がご子息などに決まっている場合も多いでしょう。
そんな場合も、後継者ブログが役立つはずです。
こうした場合、あえて後継者のみがブログを立ち上げるのも一法です。
そこで父からの教えも合わせて発信すれば、
優れた経営のDNAを受け継ぎ、ITも駆使できる後継者像を
アピールすることができるでしょう。
私も実質創業者を父にもつ同族後継者でした。
社内外から「お坊ちゃん」と見られる
冷たい視線を感じながら仕事をしていました。
そんな時期にメルマガなどで情報発信をして、
社内外に理解者を増やしていくことで、
少しずつ自信がつき信用も積み上げられたと思います。
事業承継のタイミングも、ブログで判断できる日が来るかもしれません。
後継者ブログのほうが来訪者数、記事数や内容、行動計画の新しさ、
そして何より夢と志の大きさで、
先代に追いつき、凌駕する兆しが見えてきた時に、
バトンタッチをするのです。
私も、いつかそんな、“八方喜ぶ”事業承継をしたいと考えています。
■後継者ブログ 7つの心得
最後に、後継者がブログを書く時の留意点を記します。
まずは、新し物好きで伝統を省みない、
贅沢で派手好き、頭でっかちで数字や現場に弱いといった
「ありがちな後継者」のイメージを意識します。
その悪いイメージを払拭するように書くのです。
すなわち先代を重んじ、地に足を着けつつ、
進取の精神をもって挑戦していく「バランスの取れた後継者」の姿を目指します。
具体的には以下のポイントを押さえて書かれるとよいと思います。
・先代社長の理念を守り、言葉を引用する。
同時に先代のコピーにとどまらずプラスαを書く
・各現場と知恵や工夫に気づいて褒める
・お取引先が喜んでくださる紹介記事を書く
・大きな夢・志について繰り返し書く
・具体的な行動や、経営数字に基づいて書く
・贅沢な遊びの話より、日々学んだことを書く
経営者会報ブログの場合、
共通カテゴリ=経営課題に関する記事を
一つずつ書いては埋めていくのもよいでしょう。
きっと、バランスの取れた能力開発に役立つはずです。
その記事を書くために、
書籍やセミナーで勉強したり、
現場スタッフに学んだりすることになるからです。
次回は「ブログで経営理念と社会貢献をPRする」です。
■くめ のぶゆき氏 1963年生まれ。87年、慶應義塾大学経済学部を卒業後、日興証券勤務等を経て、91年、父の経営する久米繊維工業入社。94年より社長。オーダーメイドのTシャツをネットを通じて受注・販売するビジネスモデルで、日経インターネットアワード、IT経営百選を受賞。IT活用の先駆者として知られる。著書に『メール道』『ブログ道』(ともにNTT出版)。http://kume.keikai.topblog.jp/
ボードメンバープロフィール
くめ のぶゆき氏
久米信行(くめ・のぶゆき)
1963年東京下町生まれのTシャツメーカー三代目。
慶應義塾大学経済学部卒業後、87年、イマジニア株式会社に入社。ファミコンゲームソフトのゲームデザイナー兼飛び込み営業を担当する。
88年に日興證券株式会社に転職し、資金運用・相続診断システムの企画開発、ファイナンシャル・プランナー研修で活躍。
94年に家業である久米繊維工業株式会社の代表取締役に就任。
日本でこそ創りえるTシャツを目指し、グリーン電力とオーガニックコットンを生かす環境品質と、
クリエイターとJapanCoolを共創する文化品質を追求。
個人的なTシャツコレクションも数千枚に及び、全国のTシャツアート展・ワークショップ・エコイベントを支援する。
明治大学商学部「ベンチャービジネス論/起業プランニング論」講師。NPO法人CANPANセンター理事。東京商工会議所墨田支部IT分科会長。社団法人墨田区観光協会理事。
著書に、10万部を突破した『考えすぎて動けない人のための「すぐやる!」技術』(日本実業出版社)、
Amazonでビジネス3部門第1位を獲得した『メール道』と『ブログ道』(ともにNTT出版)がある。
連載は、「経営者会報」「日経パソコン」「日経ネットマーケティング」「日経トップリーダー」ほか多数。
Twitter ID @nobukume
facebook+YouTube nobukume
- 久米信行氏新刊の見本出来のお知らせと出版記念イベントのご案内 [07/05]
- 【新著連載】Q33.商品や自分を売り込むのが苦手です [07/04]
- 【新著連載】Q32.「お前がやれ」と言われると躊躇する [07/03]
- 【新著連載】Q31.人前で堂々と意見や主張を言えない [07/02]
- 【新著連載】前例がないことに挑戦できない [07/01]
- 【新著連載】Q29.見栄っ張りでプライドが高すぎる [06/27]
- 【新著連載】Q28.シナリオを描くには? [06/25]
- 【新著連載】Q27.現状に満足しないで生きたい [06/20]
- 【新著連載】Q26.自信のあるアイデアなのにうまく伝わらない [06/19]
- 【新著連載】Q25.公私混同のほうがうまくいく? [06/18]
- 【新著連載】Q24.社内の理解が得られない [06/11]
- 【新著連載】Q23.自分ひとりでがんばってもムダですか? [06/10]
- 【新著連載】Q22. 困ったときに人の力を借りるのが苦手です [06/07]
- 【新著連載】Q21. 新しいことをやりたいんです [06/04]
- 【新著連載】Q20.周りが消極的です [06/03]
- 【新著連載】Q19.仮説はどうやって立てればいいのですか? [05/28]
- 【新著連載】Q18.人と違った情報が得たい [05/27]
- 【新著連載】Q17.つきあう人の幅を広げたい [05/24]
- 【新著連載】Q16.すぐに現状に満足してしまう [05/23]
- 【新著連載】Q15.未来を見通す目がほしい [05/22]