久米信行の『言いわけばかりで動けない君に贈る33のエール』 | 経営者会報 (社長ブログ)
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【新著連載】Q33.商品や自分を売り込むのが苦手です
15万部突破!『すぐやる!技術』の著者であり、当「経営者会報ブログ」のプロデューサーでもある久米信行さんの次回作ご執筆原稿をリアルタイムで公開させていただいております! ぜひコメント、トラックバックをお寄せください。
Q33.商品や自分を売り込むのが苦手です
→A.不器用でも情熱をもった「○○オタク」を目指せ
起業家にとって、一番大切な資質は「商品や自分を売り込む力」です。どんなに良い事業プランや商品でも、誰も見向きもしなければ無駄になってしまうからです。
尊敬する「まちおこし・ものづくり・ことおこし」達人、クリップ代表 島田昭彦さんは、「日本の素晴らしさ」を海外に広めるお仕事をされています。その大変な体験から「何かを作る力を1としたら、伝える力、広める力に、5倍の力をかけなければいけない」と強調されています。それぐらい、商品や自分を売り込むのは大切な仕事なのです。
●営業ほど創造的な仕事はない
多くの若者は、経営企画、商品企画などの仕事につきたがります。おそらく、それが創造的(クリエイティブ)で感性豊かな仕事だと思っているのでしょう。逆に、営業は泥臭くて、創造的ではないと思われがちです。上司やお客様にも怒られ、つらそうに見えるのでしょう。
しかし、それは大きな間違いです。私は、経営・商品・営業企画の仕事から、飛び込み営業・トップセールスまで体験しました。また、人工知能を使った投資・税務相談システムや自社効率化の業務システムも構築したので、機械でできること、人にしかできないことにも敏感です。
その経験から、営業ほど、人間の知性・感性・品性が問われ、心技体の高い能力が必要とされる仕事はないと感じています。
お客様は一人一人個性が違うため、模範解答もマニュアルもありません。お客様に喜んでいただくためには、使える道具はアナログでもデジタルでもフル活用しつつ、自分の心で感じ、自分の頭で考え、自分で行動するしかありません。人間を感動させられるのは、機械ではなく生身の人間だけ。お客様が感動してくれればくれるほど感動できるのも人間だけです。
●愛想と要領が良いだけの若者は3か月で辞める?
さて、それでは、どんな若者が「21世紀の営業達人」になれるでしょうか?
私の結論は「今はどんなに口べたでも、何かを長く愛し続けた『○○オタク』なら、営業の達人になる資質がある」ということです。ですから、親しい経営者には、社長自ら「オタク枠」を作って採用することを勧めているほどです。「面接マニュアル」を熟読した「愛想と要領の良い学生」ばかり採用すると、会社への忠誠心も、商品への愛情も薄く、3ヶ月でやめてしまうような若者があふれてしまうと警告しています。
これは、明治大学商学部で、起業家志望の若者たちを「三方よしのあきんど」にする起業プランニング論の講義を、7年間続けて得られた実感です。
私の講義は、自分の好きな愛用品などのブログを立ち上げ、ネット行商を1年間続けるという変わり種です。就職して自分の愛用品以外を営業することに比べたら、はるかに簡単な課題です。
ところが、毎年100人近くの学生が、ガイダンスには参加するのに、残念ながら、最後まで完走する学生は10人前後しかいません。なぜなら「売りたいほど好きなもの(こと)がありません」という学生が圧倒的に多いからです。なんと寂しいことでしょう。ものがあふれているから?メールやSNSの返信に忙しいから? 好きなものが見つけられない学生ほど、愛想はいいくせに脱落していきます。
●口べた「○○オタク」が秘めた営業力
しかし、何か「愛するもの・こと」を胸に秘めてきた「○○オタク」は違います。親が「そんなもの捨てなさい」と言っても捨てず、友人から「いたい。うざい」などと言われても、大事に胸にしまって育んできたのです。10年間も心の奥で燃え続けてきたマグマは、きっと一生消えません。
私から見れば、彼らこそ独創的な商品やサービスを産み出す創造力や、トップセールスになりうる営業力を秘めているのです。
ただし、今どきの学生なおかつオタクですから、まっすぐ立てない、あいさつができない、人前で話せない人も少なくありません。だから面接も苦手です。そのかわり、愛想がいいだけの「よい子ちゃん」にない情熱と粘り強さを、兼ね備えているのです。
彼らは、自分の好きなものやことを、最初は、おそるおそるネットで発信します。すると、自分のまわりでは見つけられなかった「同好の仲間」から思いがけず返信が寄せられます。距離を超えたマニアックなつながりこそインターネットの美点です。
一人でも仲間が見つかり自信が持てたら、「どんなブログを始めるか」壇上で発表してもらいます。もちろん「変人×オタク」の私も、公序良俗に反していない限り「いいね」と絶賛します。学生から知らないものを教われば試してオタク仲間になります。いつしか私の講義に参加するのは、愛ある「○○オタク」ばかりになります。「オタクはオタクをバカにしない」ため、誰しもが自信を持って発言ができるようになります。
ここまでくれば簡単です。彼らに足りないのは「コミュニケーション力」ですが、「語るべき愛するものごと」と「誰かに伝えたいという熱意」さえあれば、あとは、毎日の練習を重ねれば良いからです。講義では、拙著『「すぐやる!」技術』『「認められる!」技術』「ビジネスメール道」でご紹介した簡単なレッスンを実践して体得していきます。
彼らは、自分たちにスキルがないことを理解しているので、私が教えたことを「素直に」試して繰り返します。ですから伸びしろが大きく、1年後は、まるで別人です。
いよいよ最終講義では、「自分の好きなものごと」を熱く語る3分間スピーチです。演壇で原稿なしで、時間超過までして、堂々と語る若者を見るのが、最大の喜びです。
この経験から、口べたでも愛情があれば、誰でも営業達人になれると確信しています。自分が販売する「商品やサービス」を誰よりも愛用して、その良さを知り尽くすこと。商品やサービスを愛用してくれる「お客様」にも愛情を注ぎ、心から共感すること。むしろ口べただからこそ、商品やお客様を静かに見つめて、心で感じとることができます。
やがて「何が本当に求められているか」お客様の「声にならない声」が聞こえてくるでしょう。その声に応えたいと思った瞬間から起業家への道が開かれるのです。
A.不器用でも情熱をもった「○○オタク」を目指せ
Q33.商品や自分を売り込むのが苦手です
→A.不器用でも情熱をもった「○○オタク」を目指せ
起業家にとって、一番大切な資質は「商品や自分を売り込む力」です。どんなに良い事業プランや商品でも、誰も見向きもしなければ無駄になってしまうからです。
尊敬する「まちおこし・ものづくり・ことおこし」達人、クリップ代表 島田昭彦さんは、「日本の素晴らしさ」を海外に広めるお仕事をされています。その大変な体験から「何かを作る力を1としたら、伝える力、広める力に、5倍の力をかけなければいけない」と強調されています。それぐらい、商品や自分を売り込むのは大切な仕事なのです。
●営業ほど創造的な仕事はない
多くの若者は、経営企画、商品企画などの仕事につきたがります。おそらく、それが創造的(クリエイティブ)で感性豊かな仕事だと思っているのでしょう。逆に、営業は泥臭くて、創造的ではないと思われがちです。上司やお客様にも怒られ、つらそうに見えるのでしょう。
しかし、それは大きな間違いです。私は、経営・商品・営業企画の仕事から、飛び込み営業・トップセールスまで体験しました。また、人工知能を使った投資・税務相談システムや自社効率化の業務システムも構築したので、機械でできること、人にしかできないことにも敏感です。
その経験から、営業ほど、人間の知性・感性・品性が問われ、心技体の高い能力が必要とされる仕事はないと感じています。
お客様は一人一人個性が違うため、模範解答もマニュアルもありません。お客様に喜んでいただくためには、使える道具はアナログでもデジタルでもフル活用しつつ、自分の心で感じ、自分の頭で考え、自分で行動するしかありません。人間を感動させられるのは、機械ではなく生身の人間だけ。お客様が感動してくれればくれるほど感動できるのも人間だけです。
●愛想と要領が良いだけの若者は3か月で辞める?
さて、それでは、どんな若者が「21世紀の営業達人」になれるでしょうか?
私の結論は「今はどんなに口べたでも、何かを長く愛し続けた『○○オタク』なら、営業の達人になる資質がある」ということです。ですから、親しい経営者には、社長自ら「オタク枠」を作って採用することを勧めているほどです。「面接マニュアル」を熟読した「愛想と要領の良い学生」ばかり採用すると、会社への忠誠心も、商品への愛情も薄く、3ヶ月でやめてしまうような若者があふれてしまうと警告しています。
これは、明治大学商学部で、起業家志望の若者たちを「三方よしのあきんど」にする起業プランニング論の講義を、7年間続けて得られた実感です。
私の講義は、自分の好きな愛用品などのブログを立ち上げ、ネット行商を1年間続けるという変わり種です。就職して自分の愛用品以外を営業することに比べたら、はるかに簡単な課題です。
ところが、毎年100人近くの学生が、ガイダンスには参加するのに、残念ながら、最後まで完走する学生は10人前後しかいません。なぜなら「売りたいほど好きなもの(こと)がありません」という学生が圧倒的に多いからです。なんと寂しいことでしょう。ものがあふれているから?メールやSNSの返信に忙しいから? 好きなものが見つけられない学生ほど、愛想はいいくせに脱落していきます。
●口べた「○○オタク」が秘めた営業力
しかし、何か「愛するもの・こと」を胸に秘めてきた「○○オタク」は違います。親が「そんなもの捨てなさい」と言っても捨てず、友人から「いたい。うざい」などと言われても、大事に胸にしまって育んできたのです。10年間も心の奥で燃え続けてきたマグマは、きっと一生消えません。
私から見れば、彼らこそ独創的な商品やサービスを産み出す創造力や、トップセールスになりうる営業力を秘めているのです。
ただし、今どきの学生なおかつオタクですから、まっすぐ立てない、あいさつができない、人前で話せない人も少なくありません。だから面接も苦手です。そのかわり、愛想がいいだけの「よい子ちゃん」にない情熱と粘り強さを、兼ね備えているのです。
彼らは、自分の好きなものやことを、最初は、おそるおそるネットで発信します。すると、自分のまわりでは見つけられなかった「同好の仲間」から思いがけず返信が寄せられます。距離を超えたマニアックなつながりこそインターネットの美点です。
一人でも仲間が見つかり自信が持てたら、「どんなブログを始めるか」壇上で発表してもらいます。もちろん「変人×オタク」の私も、公序良俗に反していない限り「いいね」と絶賛します。学生から知らないものを教われば試してオタク仲間になります。いつしか私の講義に参加するのは、愛ある「○○オタク」ばかりになります。「オタクはオタクをバカにしない」ため、誰しもが自信を持って発言ができるようになります。
ここまでくれば簡単です。彼らに足りないのは「コミュニケーション力」ですが、「語るべき愛するものごと」と「誰かに伝えたいという熱意」さえあれば、あとは、毎日の練習を重ねれば良いからです。講義では、拙著『「すぐやる!」技術』『「認められる!」技術』「ビジネスメール道」でご紹介した簡単なレッスンを実践して体得していきます。
彼らは、自分たちにスキルがないことを理解しているので、私が教えたことを「素直に」試して繰り返します。ですから伸びしろが大きく、1年後は、まるで別人です。
いよいよ最終講義では、「自分の好きなものごと」を熱く語る3分間スピーチです。演壇で原稿なしで、時間超過までして、堂々と語る若者を見るのが、最大の喜びです。
この経験から、口べたでも愛情があれば、誰でも営業達人になれると確信しています。自分が販売する「商品やサービス」を誰よりも愛用して、その良さを知り尽くすこと。商品やサービスを愛用してくれる「お客様」にも愛情を注ぎ、心から共感すること。むしろ口べただからこそ、商品やお客様を静かに見つめて、心で感じとることができます。
やがて「何が本当に求められているか」お客様の「声にならない声」が聞こえてくるでしょう。その声に応えたいと思った瞬間から起業家への道が開かれるのです。
A.不器用でも情熱をもった「○○オタク」を目指せ
ボードメンバープロフィール
くめ のぶゆき氏
久米信行(くめ・のぶゆき)
1963年東京下町生まれのTシャツメーカー三代目。
慶應義塾大学経済学部卒業後、87年、イマジニア株式会社に入社。ファミコンゲームソフトのゲームデザイナー兼飛び込み営業を担当する。
88年に日興證券株式会社に転職し、資金運用・相続診断システムの企画開発、ファイナンシャル・プランナー研修で活躍。
94年に家業である久米繊維工業株式会社の代表取締役に就任。
日本でこそ創りえるTシャツを目指し、グリーン電力とオーガニックコットンを生かす環境品質と、
クリエイターとJapanCoolを共創する文化品質を追求。
個人的なTシャツコレクションも数千枚に及び、全国のTシャツアート展・ワークショップ・エコイベントを支援する。
明治大学商学部「ベンチャービジネス論/起業プランニング論」講師。NPO法人CANPANセンター理事。東京商工会議所墨田支部IT分科会長。社団法人墨田区観光協会理事。
著書に、10万部を突破した『考えすぎて動けない人のための「すぐやる!」技術』(日本実業出版社)、
Amazonでビジネス3部門第1位を獲得した『メール道』と『ブログ道』(ともにNTT出版)がある。
連載は、「経営者会報」「日経パソコン」「日経ネットマーケティング」「日経トップリーダー」ほか多数。
Twitter ID @nobukume
facebook+YouTube nobukume
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